次世代を担うデザイナーを発掘する「コクヨデザインアワード2023」が受賞作品を発表

2023年3月18日に行われた「コクヨデザインアワード2023」の最終審査にて、グランプリ1作品と、優秀賞2作品が決定した。今回のテーマは「embrace」。社会が直面する課題や、人それぞれの違いを受け入れ、肯定することにより、見る人や使う人を前向きにするプロダクトデザインの提案を募り、国内外から集まった合計1,023作品の中から今回のグランプリおよび優秀賞が選ばれた。adf-web-magazine-kokuyo-design-award-2023-winners-1

受賞作品

グランプリ(1作品)
  • 作品名:Sahara
  • 一般名称:絵画用パレット
  • 作者:王尾仁思

作品概要:砂漠のような絵画用パレットです。「のびのびとした絵を描くためには、のびのびとした道具が必要なのでは?」という考えから生まれた「Sahara」は、私たちの奔放な創造力を引き出し、それを受け止めるような道具のあり方を提案します。仕切りのないひと続きのパレットは、サハラ砂漠のような広大さをもって私たちの創造力を優しく包み込んでくれるでしょう。

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優秀賞(2作品)
  • 作品名:落ち葉を模した色鉛筆
  • 一般名称:色鉛筆
  • 作者:吉田峻晟

作品概要:使いっぱなしで散らかった落ち葉を模した色鉛筆は、机の上に整頓された状態以上の感性を演出します。整頓されていない状態は汚いものであると一般的には言われていますが、散らかった状態に不快感を覚えないのであれば、それは、違う価値観から捉えられた美しさなのではないでしょうか。「落ち葉を模した色鉛筆」は、新たな価値観から、今以上の感性を生み出すきっかけとなるプロダクトの提案です。

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  • 作品名:EMBRACE NOTE
  • 一般名称:ノート
  • 作者:Guo Chenkai

作品概要:理性から感性へ、既知から未知へ、秩序から混沌へ、発展していくものは独立したものではありません。「EMBRACE NOTE」は下線が薄くなっていき、余白と馴染んでいくことで、境界がやわらかくなっていきます。目的に応じて、ノートや手帳として柔軟に利用できるとともに、自然で少しの余韻のある書き心地をもたらします。

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トロフィー・表彰状について

受賞者には、メインビジュアルで用いた草木染の手法を使い、森や泉のような多様な自然によりフォーカスするガラスドーム型のトロフィーと、同じく草木染による標本をイメージした表彰状が授与された。多様なものが入り交じることで生まれる混沌とした美しさを表現している。adf-web-magazine-kokuyo-design-award-2023-winners-2adf-web-magazine-kokuyo-design-award-2023-winners-3

コクヨデザインアワードについて

コクヨデザインアワードは、ユーザー視点のものづくりの推進を目的に2002年にスタート。以後、ほぼ毎年開催し、今回の開催で20回目を迎え、国内のデザインコンペティションの中でも歴史あるコンペティションとして認知されている。受賞作品の商品化検討を前提にしたコンペティションは国際的にも珍しく、また、審査員には国内外で活躍するトップクラスのクリエイターを迎えていることから、近年は海外からの応募者が半数近くを占めるなど、国際的なコンペティションとして発展している。商品化されたアイテムの中には、MoMAのパーマネントコレクションに認定された「カドケシ」や、国際的な広告やデザインの賞を多数受賞した「なまえのないえのぐ」、iF Design Awardを受賞した「本当の定規」などがあり、そのほかにもこれまでに20作品の商品化を実現している。商品化プロセスにおける受賞者との協業を通じて、若手デザイナーの成長の支援や活躍の礎づくりにも力を入れている。

コクヨデザインアワード2023審査員

  • 川村真司(Whatever チーフクリエイティブオフィサー)
  • 田根剛(建築家/Atelier Tsuyoshi Tane Architects 代表)
  • 田村 奈穂(デザイナー)
  • 柳原照弘(デザイナー/TERUHIRO YANAGIHARA STUDIO. CO LTD.)
  • 吉泉聡(デザイナー/TAKT PROJECT 代表)

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