緑溢れる開放的な田園風景を取り戻す
アトリエ・アーキテクチャー & デザインはチルターンズ自然美観地区(ANOB)にあるポストプロダクション施設、デジタル・オーチャードを発表した。この地域はヨーロッパ最大の自然公園として知られ、ロンドンから30マイル圏内のユニークな森林地帯、ダウンランド、白亜の小川の生息地で構成されている。プロジェクトの目的は不適切な土地管理によって損なわれていた自然の生態系を再確立し、理想的な労働環境を創出するものである。
クライアントのポストプロダクション・チームにとっては、ロンドンの地下スタジオから森に囲まれた静かなスタジオに移ることで、クリエイティブ・スタッフのパフォーマンスとウェルビーイングが向上に効果が期待できた。また、デジタル・オーチャードの施設は森林地帯、野草の生い茂る牧草地、果樹園など、グリーンベルトの開放的な田園風景を取り戻し、その質を高めるキュレーターとして望まれている。
コンセプトは建築とランドスケープを持続可能な方法でポストプロダクションのニーズと融合させること。このアプローチはクライアントのビジョンを強化し、ビジネス変革の触媒となる。マスタープランでは野草の生い茂る草地、森の縁、日陰の庭、リンゴ園、サクランボ園など、テーマに沿った生息地を作り、中庭や建物に浸透させている。また、回廊状の通路はオフィスと屋内外のミーティング・スペースをつなぎ、カラマツのレインスクリーンの外壁は周囲の環境と調和し、スライド式の木製スクリーンはプライバシーと日陰のための開口部が調節できる。建物の外壁は断熱性が高く、暖房と換気にはサスティナブルな戦略が最大限に生かされ、もちろん雨水は様々な景観の灌漑と維持のために再利用される。
建築とランドスケープの相乗効果で自然生態系が豊かになることにより、クリエイティブな職場としてのさらなる可能性を引き出し、建築、エンジニアリング、ランドスケープ・デザインを通して、生きた生態系の中に建物を創り出すことで、人と自然、自然と人を再び結びつけている。
アトリエ・アーキテクチャー & デザイン(AA + D)
AA + Dは建築とランドスケープを建築と共に考えることで、両要素が互いを補強し合い、エコロジー豊かな場所の持つ可能性を解き放ち、そこにいる人たちにも良い影響を与えている。個人と自然の絆を再構築し、相互関係を育み、周囲の地形を育む環境として機能する景観の中に、建物を創造することを大切にしている。自己や環境とのつながりが希薄になりがちな今日のめまぐるしいデジタル時代において、AA + Dはクライアントと協力し、都会でも田舎でも、活力を取り戻し、インスピレーションを与えるような空間をキュレーションしている。