セイショク、布由来アップサイクル素材のNUNOUS「STONE」の特許を取得
セイショクは布由来アップサイクル素材、NUNOUS (ニューノス)「STONE」の特許を2021年3月2日(火)に取得した。繊維業界・企業のCSR、SDGsの取り組みを強力サポートできるとし、国内外で注目を集めている。
布地を製造する際に、規格外品が生じることは避けられない。例えば染色の色彩が規格外のもの、製織時に欠陥を生じたもの等は廃棄するか、ボロ布としてフェルトに再加工する等のダウンサイクリングが大半を占めている。日本国内の布の生産量は年間約18億m2と大量で基準に満たない「規格外品」は日本国内だけでも約900万m2以上 (45cm幅の道にすると地球半周分、東京ドームで192個分)と推定されている。この課題を解決すべく、セイショクは2012年から廃棄布を利用した新素材の開発に着手。規格外品、廃棄布・リサイクル品を有効活用し、これまでにない意匠性や質感を有する新素材「NUNOUS」を開発、2021年から正式に事業を展開している。繊維業界、ひいては社会全体のサステナビリティー(持続可能性)、脱炭素社会の実現に貢献するとし、今までにない特長で特許を取得した。
特許取得の理由
布地を複数枚重ねて厚地の積層体を製作すること自体は、従来からある手法であり、接着剤を用いて積層することも既知の手法であったが、NUNOUSは重ね合わせた布にポリマーを均一に含浸させ、加圧しながら冷却することによってポリマーを固化させる特殊な製法と、布でありながら建材などの代わりに利用できる堅牢性・汎用性、断面に形成される模様の意匠性が特許に値すると認められた。
NUNOUS 素材には今回特許取得の「STONE」と「SKIN」の二種がある。「STONE」は、これまでにない意匠性や質感のブロック型新素材だ。大理石のように上品な表情と、地層のようなユニークな断面をもち、かつ柔らかな感触を有す。断面によって異なる魅力をもち、積層方向に対して水平面は絵画のようで、垂直面は地層のような表情をもち合わせている。建材、プロダクト、アートピースまで、様々な分野において新たな可能性を形にできそうだ。
NUNOUS SKINは表裏がなく、両面とも表として使用可能。光を通すほど薄く、布素材のように端がほつれないため、フリーカット・無縫製での加工や製品化が可能だ。耐水性もあり、工業製品としての耐久性も兼ね備えている。抽象画や天然石を思わせる模様は自然が生みだす模様のようにひとつとして同じものはなく、様々なプロダクトへの可能性に満ちている。なお、NUNOUSの素材サンプルや商品はNUNOUS OFFICIAL WEB STOREから購入可能。
同社は今後の展望として、NUNOUSを通じてクライアントの課題を解決し、ひいては地球全体の環境負荷の改善を目指す、としている。廃棄布を原料にNUNOUSを作成し、オリジナルのプロダクトを製作することで、企業やブランドの脱炭素社会にむけた取組みを支援し、ブランド価値の向上を後押し、サポートしていくことや、国内のみならず、SDGsの意識が高く、廃棄布の課題を抱える海外市場にも展開を予定している。従来の布素材が用いられていた分野に加え、新しい分野・異なる分野への提案、将来的には木やレンガ、紙や革のように、さまざまなシーンで当たり前に選択肢に上がる素材にと考えている。
ANOTHER NUNOUS PROJECTではクライアントの廃棄布をNUNOUSにアップサイクルし、オリジナル製品製作をサポートしている。その土地・企業由来のファブリックで独自のNUNOUSを創り、オリジナルプロダクト、壁紙・店舗内装や什器等に活用することもできる。NUNOUSを通じて、環境を大切にする姿勢や取り組みをカタチにし、企業のCSR活動・SDGs活動を支援する、とし、パートナー企業を募集している。
セイショク株式会社概要
1880年岡山県倉敷市茶屋町で糸を生地にする「織布」事業を創業。その後、紡績、染色まで事業領域を拡げ繊維の一貫体制を構築。1950年には昭和天皇が巡幸した際に視察頂く栄誉に預かる。その後、繊維産業の海外生産の影響で2事業から撤退。現在、岡山市で織物(作業服地メイン)・人工皮革・カラーデニム生地の染色事業のみ継続。