「感性のあるグローバリズム」
この1年間にデザインの全分野において傑出した成果に贈られる「2023毎日デザイン賞」(毎日新聞社主催)の選考委員会が開催され、建築家・重松象平の「感性のあるグローバリズム」に決定した。重松はニューヨークを拠点に世界各地で活躍している。
2022年12月から翌年5月に日本で開催された「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展では空間デザインを担当。日本の地域性を反映させ、ディオールの世界観を読み解いた幻想的でダイナミックな空間は没入感に満ち、多くの人々を魅了して絶大な人気を博した。また「虎ノ門ヒルズステーションタワー」(23年10月開業)では建築デザインを担当し、メトロ新駅直結の駅前広場が一体的に作られ、地下2階から3層にわたっての吹き抜けの大空間や、タワーの最上階にはホールやギャラリーを備えた情報発信拠点「TOKYO NODE」を設けるなど、都市再生の新しいかたちを壮大なスケールで実現した。現在も「江戸東京博物館」の空間デザインなど複数のプロジェクトが進行中。
今回の選考委員は齋藤精一(パノラマティクス主宰)、柴田文江(プロダクトデザイナー)、須藤玲子(テキスタイルデザイナー)、永井一史(アートディレクター)、保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター(館長)。
重松象平プロフィール
建築家、国際的建築設計事務所OMAのパートナーおよびニューヨーク事務所代表、九州大大学院人間環境学研究院教授、BeCATセンター長。1973年生まれ。96年九州大学工学部建築学科卒後オランダに渡り、98年からOMA に所属。2006 年ニューヨーク事務所代表、08年からパートナー。主な作品に、コーネル大学建築芸術学部新校舎、ケベック国立美術館新館、メトロポリタン美術館の展覧会デザイン、福岡の天神ビジネスセンター、ティファニーの五番街旗艦店など。江戸東京博物館魅力向上空間デザイン、ルイ・ヴィトン世界巡回展デザインなどが進行中。
毎日デザイン賞
グラフィックやインテリア、クラフト、ファッション、建築など、あらゆるデザイン活動で、年間を通じて優れた作品を制作、発表し、デザイン界に大きく寄与した個人、グループ、団体を顕彰する賞。主催は毎日新聞社。1955年に毎日産業デザイン賞として創設され、デザインの多様化を背景に76年に毎日デザイン賞と名称を変更した後も我が国のデザインの活性化とともに歩み続けている。国際的、文化的な賞として高い評価を受けている。