「あなたのデザインですが、まあ良いのですが、どこかで見たような感じのデザインをしてませんか?」

多くの情報がネット上で飽和した今、最新のトレンドや最新のデザインの多くが、その場に行かずともタブレット上で容易に見れてしまう。あまりの容易さに、デザインの本質をとらえる事なく多くの複製が繁殖し、デザインも瞬時に消費されてしまう時代である。そんな時代だからこそ、もう一度『デザイン』を考えなおしてはみてはいかがでしょうか。

私が好きな建築家の一人フランク・ゲーリー先生、ザハの曲線的な建築は有名だが、それ以前より複雑な曲線美を使った現代建築の巨匠である。

多くの奇抜な建物をデザインした彼、記者会見で、「目立ちたいだけの建築だと言う評価に対しどうお答えになりますか?」と聞かれ、「今の建築の98%は糞だ!」と中指を立て言い放った。

Dancing House

Dancing House(ダンシングハウス): 1996年にプラハのヴルヴァ側に建てられたビル。
引用:https://tokuhain.arukikata.co.jp/prague/2014/03/dancing_house.html

今でこそ、好きな建築家であるが、初めて見た彼のプラハでの作品への印象は非常に悪いものでした。自己満足的で主張し過ぎるデザインは、美しいプラハの街並みを完全に壊していた。近くで見ると曲線を形成する構造体の無骨さだけが目に付き、外見だけを意識し、使う人を全く考えていない、やり過ぎで不快な建築という悪いイメージだけを残した。

しかし、スペイン北部のバスク州ビルバオに建てられたグッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum Bilbao)により彼の印象が変わった。20世紀、鉄鋼産業で栄えたビルバオであるが21世紀に産業は廃れ、バスク州独立の為のテロが多発し荒廃した街となった。産業の街から文化の街へ変貌を遂げるべく、開発の中心として建てられたのがグッゲンハイム美術館である。チタン合金で覆われた美しい曲線美の建築はビルバオを蘇らせた。

Guggenheim Museum Bilbao

ビルバオ・グッゲンハイム美術館: 1997年開業 引用: https://ishirabe.com

1997年の開業以来、観光数は年間2万5千人から、2005年には100万人を突破。開業5年での経済効果は1000億円以上となり、奇跡の建築と呼ばれている。

グッゲンハイム美術館と言うネームバリューはあるが、彼のあの革新的で美しい建築で無ければ、ここまでの成功はなし得ていなかったはず。今に思えば、プラハのあのビルロケーションは中心街(繁華街)からは少しはなれた川辺の廃れたエリアでした。エリアのシンボル(アイコン)として人を呼び込む大きな仕掛けとしてあのビルを捉えていたと考えると、その当時の私は、まんまと彼の図中にはまっていたのかもしれません。

デザインは機能性以上の価値を生み出す行為で、クリエイティブな行為です。その作品は人の心、ひいては社会全体に影響をも与える。

何の革新も無く、世のデザインの流れの中で、そつなくデザイン(単純作業)をこなす自称デザイナーの方々、ゲーリーさんに「今のデザイナーの98%は糞だ!」と言われないよう気を付けてください!いつも外から影響を得るだけではなく、人を惹きつけ社会に影響を及ぼす本当のデザイナーを目指してみてはいかがですか。