唯一無二の価値を持つ「NFT」。メタバースやアート、ゲームでの活用など可能性は無限大

ビットコインをはじめとする暗号通貨からスタートしたデジタル資産の世界。技術は日々進化し、人々の視野が拡がったことで、デジタル資産の世界は今もなお拡大を続けている。今日では、ブロックチェーンやeウォレット、分散型取引所(EDX)、セキュリティトークン、ユーティリティトークンなどの単語が広く知られるようになった。この記事では、クリプト(暗号)コミュニティにおいて、瞬く間に注目を集めた「非代替性トークン(NFT)」について、その特徴と可能性について、最新の活用例を紹介しながら説明していく。

NFTの定義

非代替性トークン(NFT)とは、デジタルデータに唯一無二の資産価値付与したトークンである。データに付与された情報は特定のコードを用いており、NFTは、暗号研究者のニック・サボが考案したプログラム「スマートコントラクト」を用いている。ここに付与されたデジタル情報によりそれぞれのNFTが独自性を持ち、世界にひとつだけのアイテムとなるのだ。

非代替性トークンと代替性トークンの違い

ビットコインなどに代表される代替性トークン(FT)は、通貨と同様、同じ価値を保有するので分割も交換も可能だ。一方で、非代替性トークンは、分割や交換はできない。さらに、NFTはひとつひとつが独立した価値を持つのに対し、FTは全て同じ価値を保有し複数のアカウントを跨いで交換することが可能である。NFTは、それぞれが保有する情報や機能、アプリケーションなどによってその価値を定められている。

NFTの技術

ほとんどのNFTは、イーサリウムなどのブロックチェーン上に構築されており、多くのブロックチェーンネットワークがNFTを利用している。ブロックチェーンは、従来のデータベースとは異なりデータベースを複数の事業者が共有するシステムなので、高い透明性が実現され、スマートコントラクトに記録されたNFTの所有者情報や取引の記録などの足取りを追うことができる。同時に、NFTの所有者情報には匿名性があり、仮名で取引することができる。

NFTの特徴

NFTの最大の特徴は、フィジカルなアイテムをデジタルの世界で保有することができる点だ。NFTの本質は、デジタル環境におけるコレクターズアイテムなのである。オーナーは実際の油絵を手にするのではなく、デジタルファイルを保有するのだ。そして、そのアイテムは、世界にふたつとない唯一無二のアイテムであり、オーナーはひとりしか存在しない。更にオーナーは、そのNFTにデータを追加することもできる。NFTがよく使われるアート作品を例にあげると、クリエーターはデジタル署名を付与することができ、NFTが他の人の手にわたっても、クリエイターの名は作者として残り続ける。

NFTの活用例

アートワーク

オンラインの世界において、アート作品の独自性や信憑性の問題が長い間課題となっていた。以前は、アイデアをコピーしたり作品を盗作することは容易で、作品の価値を保持することが難しく、アーティストが収益を得づらい状況だった。ブロックチェーンを活用したNFTは、デジタルの世界での著作権保護を可能にし効率的に収益化する術をアーティストやクリエイターに提供している。デジタルの世界では、より多くの人々がアートにアクセスしやすくなっており、メディアの種類も映画、TVシリーズ、音楽、絵画、デザインなど豊富である。リアルの作品に比べて過小評価される傾向にはあるが、NFT作品を創るアーティストや扱うディーラーは増えている。また、作品が多くの人々の目に触れることで、クリエイターがより多くのターゲットにリーチでき、仲介者を通さず直接作品を販売することができるのもNFTの特徴の一つである。

ゲーム

2020年から2021年にかけて、我々はNFTゲームの爆発的な進化を目の当たりにした。NFTゲームとは、ブロックチェーン上で稼働するビデオゲームのことである。このゲーム内でプレーヤーが保有するアイテムやキャラクターがNFTなのである。NFTゲームの登場はゲーム界に多くの可能性をもたらし、特に、ゲーム内で得た収益やポイントを暗号通貨に換えて売買できる「Play to Earn(P2E)」のゲームはその恩恵を受けた。プレーヤーは、アイテムの保有者となり、取得したアイテムが資産となって記録されることで、デジタル世界で利用できる暗号資産を得ることができるのだ。

DeFi

DeFi(Decentralized Finance)は分散型金融で、中央で金融資産を管理する中央集権システムを必要としないブロックチェーン技術。金融資産の管理を自律的に行えるのが特徴で、NFTに対応したdApps(Decentralized Application)=「分散型アプリ」を利用している。DeFiを用いることで、手数料不要、デジタルウォレットに資産情報が保管される、直接取引が可能、迅速な取引が可能などのメリットがある。DeFiとNFTを組み合わせることで、ビジネスや政治、ヘルスケアなど様々な分野への応用が可能となる。

デジタル特性

NFTは、デジタル資産の信頼性と希少性の担保だけでなく、オンライン特性の証明にも有効である。オンラインユーザーは既にあらゆる企業に情報を保有されているのが現実である。ターゲットとなるユーザーの個人情報を保有して効果的に広告を表示させることは、多くの企業が活用しているマーケティング手法のひとつである。よって、オンラインで個人情報がNFT化されることで、企業はユーザーのデータにアクセスし、より効率的なマーケティングができるだろう。個人情報流出などの問題はあるものの、最大限のトレーサビリティを残しながらアクセスを制限することも可能で、マーケティングへの応用は大きな可能性のひとつである。

メタバースにおけるNFT

ブロックチェーンネットワーク上で稼働するデジタル空間がメタバースである。Facebookも独自のメタバースプロジェクトを進めるなど、「メタバース」は、デジタルの世界において最も旬なワードとなっている。ARやVRなどの技術を用いることができ、中央集権化されていない世界はより多くの交流やビジネスチャンスを生む。NFTはメタバースとほぼ同義で用いられる。NFTは、メタバース上のユーザーだったりアバターだったり、資産を代表し、活動を記録するものである。大きなエコシステムでくくられたメタバース空間のあらゆる領域で、ユーザーは様々な資産を利用することができる。

有形資産のデジタル化

デジタル資産以外に、有形資産への適用もNFTの可能性のひとつである。既に有形資産のNFT化は実現しており、将来的には有形資産をデジタルの世界でも存在させることが目的である。これにより、オーナーは物質世界だけでなくデジタルの世界でもアイテムを保有することができ、保証された環境下で売買をすることができる。また、中古のアイテムを探しているバイヤーは、アイテムのオンライン売買履歴を確認することができる。これ以外にも、有形資産のデジタル化は様々なプロジェクトで応用されている。

NFTの主観的価値

NFT化されたデジタル/フィジカル、どちらのアイテムも、全て主観的価値を保有していると言える。「美は見る者の眼に宿る」というように、我々が創り上げた大きなエコシステムの中に存在することからその価値が派生している。ゲーム内のキャラクターの見た目やアイテムの外見のことを指す「スキン」。プレーヤーが獲得したNFTである「スキン」は、他のプレーヤーにとっても獲得したいものとなり、それぞれに価値がついていく。スキンの数が少なくなればその希少性は高まり、価値も上がる。単純に言えば、NFTとは、ユーザーが知識とスキルと創造力を駆使することで得られるもの、もしくは欲しいものを得るためのツールなのである。

NFTコミュニティの役割

暗号資産の大々的な盛り上がりを推進させた要素のひとつはコミュニティだった。NFTについても同様で、多くの人がNFT関連のプロジェクトやトレード、投資案件、コラボレーションなどに時間を投資し、それを遂行することでコミュニティを拡大させてきた。NFTへの関心が高まることで、NFTの価値は上がり、また人々によってその魅力が伝えられてコミュニティが広がっていくのだ。裾野が広がることで、初心者にも入りやすいコミュニティとなっており、アメリカではインターネットユーザーの2.8%がNFTを所有しているというデータもある。しかもこれが世界で3位のランキングであるということからもNFTコミュニティの広がりが見てとれる。

非代替性トークンの安全性

ブロックチェーン、スマートコントラクト、DeFi上で稼働するため、NFTは概して安全であると言える。ただ、悪意のある団体や個人による架空の取引やプラットフォーム、デジタルウォレットを用いたなりすましなどで個人情報や資産が盗まれることもある。最も恐れるべきなのが、存在しないNFTを販売する架空のマーケットプレイスである。また、セキュリティシステムが脆弱で、ハッキングへと誘導されてしまう新プロジェクトもあるので注意しないといけない。だからこそ、投資する前に充分な精査をすること、そして最新の動向をアップデートすることが、リスクを回避して資産を守るために重要なのである。

最後に…NFTのトレンドは加速しながら今後も続くだろう。NFTの世界で成功するには、コミュニティに関わり、早いスピードで進化し続けるその動向を常にウォッチし、最新の情報をアップデートし続けなければいけない。これにより、より多くの収穫を得た者が業界のリーダーとなり、勝者となることができるだろう。

Crypto Playの依頼による転載・翻訳)