東京ドームシティを舞台とした新たなアートの取り組み
2022年5月より始動し、アート作品の展示や参加型ワークショップなどを実施してきた東京ドームシティを舞台とした新たなアートの取り組み「東京ドームシティ アートプロジェクト」。本年度は、東京ビエンナーレ2023と連携し、新鋭アーティスト遠藤麻衣の作品展示やワークショップの開催に加え、昨年1年間の東京藝術大学との現地調査の成果として、現在東京ドームシティ全体で実施しているランドスケープリニューアル計画にアートの視点を織り交ぜた、東西動線の活性化計画を発表した。
東京ドームシティ アートプロジェクトは、東京ドーム、国立大学法人東京藝術大学および一般社団法人東京藝術大学芸術創造機構が連携し、東京ドームシティを舞台とした新たなアートの取り組みである。
2023年度の実施予定施策
若手アーティストによる東京ドームシティ アートウォールでの展示
「東京ビエンナーレ2020/2021」では、東京ドームシティ Gallery AaMoと都営三田線水道橋駅A3出口をつなぐ通路の壁をアートウォールにリニューアルした。本プロジェクトの第二弾として、本年度ではアーティスト遠藤麻衣の作品『アトラクティヴリーアイドリング』を展示する。
本作品は、アーティスト本人が東京ドームシティを独自にリサーチし、ディスカッションやフィールドワークを通して顕在化した働くスタッフが職場でほっとする瞬間や休憩への欲求、願望を、実際にディスカッションやフィールドワークに参加したスタッフとアーティストが一体になって実演した作品。
遠藤麻衣『アトラクティヴリーアイドリング』展示概要
会期 | 2023年9月23日(土・祝)~2024年7月31日(水)予定 |
展示会場 | 東京ドームシティ内のGallery AaMoと 都営三田線水道橋駅A3出口 をつなぐ通路 |
遠藤麻衣
俳優、アーティスト。イメージとの関わりにおけるパフォーマティブな身体に関心を寄せ、映像、写真、演劇、本などのメディアや方法論を横断した表現をしている。近年は、美学校で「シャドーフェミニズムズの芸術実践」の開講や、丸山美佳との「Multiple Spirits(マルスピ)」でジン出版や展覧会企画などクィアフェミニスト的な実践を展開している。主な展覧会に「体の終わり La Clausura del Cuerpo」(Centro Cultural las Cigarreras、Alicante、2022) 「燃ゆる想いに身を焼きながら」(愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA・KURA、愛知、2021)、「フェミニズムズ」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「ルール?」(21_21 DESIGN SIGHT、東京、2021)など。2021年東京芸術大学美術研究科博士後期課程修了。2022年文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨーク滞在。
東京ドームシティ アートプロジェクト 子どもも大人も 芸術家といっしょにアート体験 with 東京藝術大学
「アートの可能性の探究」をテーマとした共同研究プログラムの一環として、様々な来訪者が本物のアートに触れられる機会を創出することを目的に、東京ドームシティにてワークショップを開催。
ワークショップ概要
日時 | ①2023年10月7日(土) 11:00 - 13:00 ※予備日:10月15日(日) ②2023年11月3日(金・祝)、4日(土) 11:00 - 12:50(事前予約制) ③2023年11月3日(金・祝)、4日(土) 14:30 - 18:00(随時受付) |
講師 | ①遠藤麻衣 ②③栗原良彰 |
詳細 | 開催場所および申し込み方法は公式サイトを参照 |
東京ビエンナーレ2023 展示作品の制作協力
東京ビエンナーレ2023でソーシャルダイブに選ばれたアイスランド出身のアーティスト、ヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティル氏の作品『Seeking Solace』の制作場所として、東京ドームのオフィスを提供。職場環境という共通のコミュニティの中で、本来人間が持っているテーマや、その中での繋がりや助け合いを探求することを目的とした、参加者と協働する映像作品。
『Seeking Solace』展示概要
会期 | 2023年9月23日(土)~11月5日(日) 11:00 - 18:00 |
展示会場 | エトワール海渡リビング館 3階展示室 |
ヒルダー・エリサ・ヨンシュドッティル
アーティスト。1993年、アイスランド・レイキャビク出身。2019年にアイスランド芸術大学ファインアート学科を卒業。在学中にスイスのルツェルン応用科学芸術大学芸術学部に交換留学、作品《Konzert für Spielzeug und Schwimmbad》がキュレーターのミヒャエル・ズッターによる選出で、同大学のベスト・オブ・エキシビション「K+」に出品された。レイキャビク音楽大学でクラシック・クラリネットの学位を取得し、世界的にも有名なアイスランド語による合唱団 Hamrahlíðarkórinn(The Hamrahlid Choir)と多くの共演を行う。彼女は作品の中で体制批判を用いながらパフォーマンス、映像、インスタレーション、音楽の中にある規範的な物語を遮り、問題提起し、新たな角度からの物事を提示する。
アートを活用したランドスケープリニューアル計画
東京ドームシティで実施しているランドスケープリニューアル計画のうち、都営三田線水道橋駅A3出口から小石川後楽園に繋がる東京ドームシティの東西に伸びる動線に沿って、様々なアーティストの作品を複数展示し東西動線の活性化を図る。作品の展開エリアは5箇所を計画、昨年1年間の東京藝術大学との現地調査にて東京ドームシティの空間資源の把握を行い、ロケーションに応じて様々なアーティストと連携し、作品の制作を行っていく。
今回、このアート作品群の中心地点となる、プリズムホール南面のガラスウォールにHogalee(ホガリー)のアート作品の展示を行うことが決定。これまでHogaleeが描いてきた現代を映す鏡としての女性モチーフと、ランドスケープリニューアルで設定した隣接する「小石川後楽園との繋がり」というテーマが融合した作品展示を、2024年春に行う予定。詳細は、東京ドームシティ公式サイトにて随時更新。
Hogalee
アーティスト。神奈川県生まれ。2001年、東京藝術大学大学院デザイン修士課程修了。現代を映す鏡として「女性」をモチーフに漫画描写の線画にて記号化した「オンナノコ」を描き続けている。現代アートの文脈をレイヤーにしたキャンバス作品や、キャンバスという枠を超えた支持体として壁画を制作。アクリルペイント以外にも「原状回復」をコンセプトにマスキングテープにて壁画を描画し剥がして元の空間に戻す作品展開もしている。個展「Entanglement」(KANA KAWANISHI GALLERY、2022年)、「Entanglement - Shinjuku Ⅲ」(新宿三丁目交差点、2022年)、「せかいをうつす」(藤沢市アートスペース、2017年)、「TRANS ARTS TOKYO」(神田、2017年)、個展「原状回復」(世田谷ものづくり学校、2014年)、「NO MAN’S LAND」(旧フランス大使館、2009年)
東京ドームシティ アートプロジェクト
東京ドームシティとアートの可能性の探求をテーマに、2022年5月から 5年間を活動期間とし、東京ドーム、東京藝術大学、東京藝術大学芸術創造機構の 3 者が連携し、東京ドームシティという場所が持つ固有の魅力の調査研究、様々なお客様が様々な形でアートの楽しさや素晴らしさに触れられる機会の創出、若手アーティストの活動、活躍の場の創出を行う。これらの活動により、アートを基盤としたこれまでにない企業価値向上の仕組み構築を図り、アート文化の発展や、アートを通じた社会課題の解決、社会的豊かさの創出を目指す。
東京ビエンナーレ2023
東京のまちを舞台に2年に1度開催され、東京のまちに国内外から幅広いジャンルの作家やクリエイターが集結し、まちに深く入り込み、地域住民の方々と一緒に作り上げていく芸術祭。2回目となる東京ビエンナーレ2023は2023年9月23日(土)から11月5日(日)に開催され、「リンケージ つながりをつくる」がテーマ。リンケージとは、人間関係だけではなく、場所、時間、人、微生物、植物、できごと、モノ、情報などあらゆる存在が複雑に関係しながら、刻々と変容していく世界に生きているからこそ見いだされていく「関係性=つながり」のこと。