写真家たちが歴史に刻んだ、世界中の愛と平和への願い
「ザ・ファミリー・オブ・マン写真展 人類愛と平和のビジョンを、いま再び」が、日本橋高島屋で2026年8月12日(水)から8月24日(月)で開催される。本展は1955年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された20世紀を代表する大規模な写真展で、当時MoMA写真部長を務めていた写真家のエドワード・スタイケンが企画・キュレーションを手がけ、世界各地を巡回し900万人以上が観覧した。日本では1956年に日本橋高島屋で開催され、実行委員会には、日本写真界を切り拓いた写真家・木村伊兵衛をはじめ、展示空間を手がけた建築家・丹下健三など、当時の第一線で活躍する表現者が名を連ねた。その後国内20都市以上を巡回して合わせて約100万人の来場者を集める社会的現象となった。スタイケンは晩年、彼の出身国であるルクセンブルクに本展企画を委ね、現在作品群はルクセンブルクのクレルヴォー城に永久展示されている。
当時、ロバート・キャパ、ユージン・スミス、アンリ・カルティエ=ブレッソンをはじめとする世界的写真家の作品約500点で構成された「ザ・ファミリー・オブ・マン」。今回、本展ではその中から115点を厳選し回顧展として現代によみがえる。また、2027年は日本・ルクセンブルク外交関係樹立100周年にあたり、日本経済新聞社の創刊150周年も記念し、現代の視点からの応答としてルクセンブルクの写真家および日本経済新聞社の写真記者による作品も併せて展示される。
代表的な展示作品
ウィン・バロック [撮影地/アメリカ]
バロックは、自然の造形美と人間の存在を哲学的・詩的に捉えた20世紀アメリカを代表する写真家。この作品は代表作《Child in Forest》(1951)で、森の奥深くに横たわる子どもの姿は、太古の地球に奇跡のように誕生した人類の無垢な生命を想起させる。
ロバート・キャパ [撮影地/チェコスロヴァキア(当時)]
戦場カメラマンとして語られることが多いキャパだが、第二次世界大戦が終わって2年後のチェコスロバキアの農村で撮られた結婚式の風景は、人の営みの異なる側面——戦争から解き放たれた人々が新たな人生を始める祝祭の瞬間——を写しとっている。
ヴェルナー・ビショフ [撮影地/インド]
ビショフは、インド・ビハール州の飢饉下で撮影した《Mother and child in a famine stricken area》(1951)において、極限状況のなかでも子を支える身体の強さと、母子の結びつきを正面から写し出した。
アルフレッド・アイゼンスタット [撮影地/アメリカ]
アイゼンスタットはLIFE誌で長く活躍し、子どもたちの無邪気さや群れのエネルギーを、生き生きとした一瞬として定着させた写真家として知られている。
ニーナ・リーン [撮影地/アメリカ]
本展の核となる家族のテーマでは、アメリカ、イタリア、シチリア、ボツワナ、そして日本で暮らす五家族の肖像写真が並ぶ。環境や文化は違っていても、互いに支え合いながら大地とともに生き、子どもたちを育てる日常の営みと家族の絆が映し出されている。人類を一つの共同体として捉えるスタイケンの理念は、ここを中心に展示全体を貫いている。
ジョン・フロレア [撮影地/日本]
正義や人権をテーマとした作品では、裁判や選挙の場面を通して、社会の公正さがどのように保たれているのかを問いかけている。日本の戦後初の総選挙を写した作品も含まれ、アメリカの写真家ジョン・フロレアが1946年、連合国軍占領下の日本を訪れ、戦後初の総選挙の様子を撮影した本作品は、日本の女性が初めて投票権を行使した歴史的な瞬間を捉えている。
山端庸介 [撮影地/日本(長崎)]
戦争の顔をテーマとした作品では、戦争を戦況ではなく、「人の顔」として捉える視点が示されている。山端庸介は、1945年8月10日、原爆投下翌日の長崎を撮影し、被爆者や市街地の惨状を克明に記録した。わずか一日の撮影で残されたこれらの写真は、核兵器がもたらした現実を、逃げ場のない形で私たちに突きつける。
W.ユージン・スミス [撮影地/アメリカ]
W.ユージン・スミスは、第二次世界大戦の従軍中に受けた重傷から、生死の境をさまよう療養生活を余儀なくされた。《The Walk to Paradise Garden》(1946)として有名な本作品は、彼が再びカメラを手に取れるまで回復した際、自宅の庭で自身の子どもたちを捉えた「復活」の一枚。光の差す森へ向かって手を取り合い歩く兄妹の後ろ姿が、戦争の暗闇を越え、未来へ進む人類の希望を象徴しており、子どもたちの存在が、世界を再生へ導く希望であることを伝えている。
写真家一覧
アルフレッド・アイゼンスタット、マヌエル・アルバレス・ブラボ、ローラ・アルバレス・ブラボ、イジス、ローマン・ヴィシュニアック、ジェイ・テ・ウィンバーン、ルース・オーキン、大滝栄寿、岡本洋一、アンリ・カルティエ゠ブレッソン、蒲生右之助、ロバート・キャパ、ハリー・キャラハン、ロバート・キャリントン、ハーマン・クライダー、バート・グリン、ドミトリ・ケッセル、デヴィッド・シーモア、ゴットハルト・シュー、エリック・シュワブ、ボブ・シュワルバーグ、エドマンド・バート・ジェラード、エドワード・スタイケン、コンスタンス・スチュアート、ギテル・スティード、W・ユージン・スミス、デイヴィッド・ダンカン、ロイ・デカラヴァ、J・デ・ピエトロ、チャールズ・トリーシュマン、ネル・ドア、ロベール・ドアノー、レナート・ニルソン、エルンスト・ハース、バート・ハーディ、ピーター・W・ハーバーリン、ユージン・ハリス、リチャード・ハリントン、ロバート・ハルミ、マーガレット・バーク゠ホワイト、シャーリー・バーデン、ルー・バーンスタイン、エスター・バブリー、ウィン・バロック、ヴェルナー・ビショフ、ナット・ファーブマン、アンドレアス・ファイニンガー、ヴィト・フィオレンツァ、ジョン・フィリップス、ルイス・フォア、サム・フォーク、ヴィリー・フッティヒ、トニ・フリッセル、ジョン・フロレア、ビル・ブラント、リーヴァ・ブルックス、マシュー・ブレイディ、レオンティ・プランスコイ、オットー・ヘーゲル、アーヴィング・ペン、フランク・ホーヴァット、マリア・ボーディ、アーノルド・マース、カール・マイダンス、ハンス・マルムベリ、ウェイン・ミラー、ジョーン・ミラー、リー・ミラー、メイ・ミリン、デイヴィッド・ムーア、ラルフ・モース、山端庸介、リサ・ラーセン、ニーナ・リーン、デイヴィッド・リンドン、ローレンス・ルゲイ(回顧展パート、五十音順)
「日本経済新聞社 創刊150周年記念 ザ・ファミリー・オブ・マン写真展 人類愛と平和のビジョンを、いま再び」
| 会期 | 2026年8月12日(水)~8月24日(月) |
| 時間 | 10:30~19:00 ※最終日は17:30まで |
| 会場 | 日本橋高島屋S.C. 本館 8階ホール |
| 料金 | 一般1,200円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料 |
| URL | https://tinyurl.com/mucfkem3 |

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