新型コロナウイルス感染症拡大により、創作活動に影響を受けたアーティストや企画者などに新作の制作を依頼し、ウェブサイトを通じてオンライン配信するオンライン・アートプロジェクト

愛知県では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、活動の機会が減少したアーティストに、県内文化施設と連携した作品の制作を委託し、オンラインで配信する事業「AICHI⇆ONLINE」を実施する。「明日はみんなをまっている。泉のようにわいている。らんぷのように点ってる」。この言葉は、愛知県半田市生まれの児童文学作家である新美南吉が、1932年の19歳に発表した詩「明日」 の一節。29歳という短い生涯の中で「ごんぎつね」 をはじめとする、人間の哀しみの中にある愛や美しさといった普遍性を描いた作品を創作した南吉だが、その中でもこの詩は「創造」への希望を託している。

オンライン・アートプロジェクト「AICHI⇆ONLINE」は、新型コロナウイルスの感染拡大により文化芸術の灯火がついえそうな危機的状況の中で企画された。絶えず流動的なこの禍中で「創造」の灯火を絶やすことなく明日へつないでいくプラットフォームのロゴに新美南吉の言葉を引用した。ロゴは、類のない線や形の文字やビジュアルを生み出す気鋭のグラフィックデザイナー三重野龍が手がけた。愛知県内の場所や愛知県がもつ文化的財産に着目したプロジェクトを新たに制作し、作品は2021年2月1日(月)から3月21 日(日)までオンラインで公開される。

 

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グラフィックデザイナー三重野龍

参加プロジェクト

  1. 監督:山下敦弘
    短編映画 『タイトル未定』
  2. 企画:武部敬俊 / LIVERARY
    ライブ&アーカイブ・プロジェクト
    「LIVERARY LIVE RALLY “Extra” —YOUR CITY IS GOOD—」
  3. 企画:劇団うりんこ / うりんこ劇場
    映像プロジェクト「ベイビーシアター『MARIMO』」
    出演:朝比奈緑+川原美奈子 映像:山田晋平 衣装:藤谷香子 楽曲提供:福島一幸
    音響:ノノヤママナコ 照明:福井孝子
  4. 企画:ON READING
    短歌プロジェクト「ここでのこと」
    短歌:小坂井大輔、惟任將彥、谷川電話、千種創一、辻聡之、寺井奈緒美、戸田響子、野口あや子、山川藍(五十音順)
    イラスト:宮崎信恵
  5. アーティスト:玉山拓郎
    オンライン・インスタレーション『A glass of water(仮)』
    VRデザイン:平田尚也
  6. アーティスト:西尾佳織 / 河村美雪
    映像プロジェクト『この町に住んでいる絵に会いに行く』
  7. 企画:西田雅希 アーティスト:黒川岳
    サウンド・インスタレーション『甕々の声(仮)』
  8. 企画:明貫紘子
    アーカイヴ・プロジェクト「Archive of Media Art in Aichi(仮)」
    UIデザイン / プログラム:林洋介
  9. 漫画:三浦よし木
    読み切り漫画 『花をうめる』(原作:新美南吉)

プロジェクトは、文化芸術の表現者やその制作を支えるさまざまな職能を持つ人々と共に、表現活動を続けていくための後押しとなるよう、アーティストに作品制作を依頼することだけではなく、キュレーターらに企画を依頼したプロジェクトも含めた9つのプロジェクト。

また、ジャンルの枠にとらわれないプロジェクトとすることで、より多くのアーティストやクリエイターが関わることを意図している。こうして制作された作品が、鑑賞者の心に残っていくことや表現者としての歴史に重要な作品として残ることを期待して、作品プランの実現に向けて、多様な専門性をもつ企画チームが併走し、文化芸術の灯を守っていく。