尾道市立美術館と尾道旧市街斜面地にある三つの会場で開催
マレーシア出身のアーティスト、シュシ・スライマンの尾道での10年間にわたる創作活動を展示した展覧会「ニューランドスカップ(NEW LANDSKAP)」が9月16日から11月12日にかけて、尾道市立美術館と尾道旧市街斜面地にある三つの会場で開催されています。
展覧会のタイトルに使用されている「LANDSKAP」という言葉はマレー語で「風景」を意味しますが、アーティストの想像力は文化的な基層にも及び、「LANDSKAP」は視覚的な要素だけでなく、場の来歴、さらに場に潜在する不可視なエネルギーも包括したものとなっています。
本展覧会は、アーティストと一棟のごくありふれた廃墟の出会いから始まったプロジェクトの深さと広がりを、尾道市立美術館の空間と再生された廃屋の両方で同時に見ることができる絶好の機会となります。
『私の思考の中で、風景は、さまざまな断片を目にすることによってかたちづくられてきた。この展覧会は、そうした視覚的な断片を新しい視点から読み直すために開かれる。
尾道の風景の美しさ、とりわけ山手地区でこの10年のあいだに経験してきたことは、私の思考や感覚にひそむ「フラクタルなもの」、つまり何かしら断片化されたもの、バラバラになったものを理解する上で影響を与えている。』 ー 美術館の入り口に印字された文章より
シュシ・スライマンのプロジェクトはまだ終わっておらず、この展覧会は尾道での10年間にわたる彼女の創作活動の成果報告でもあり、途中経過報告でもあると言えるでしょう。
彼女が尾道で見出すさまざまな断片がこれからどう連鎖していき、何を引き起こしていくのか、計り知れない大きな可能性を秘めています。
美術館のミュージアムショップには、シュシ・スライマンの尾道での創作活動とプロジェクトの経緯について詳細に書かれた図録が販売されているので、より詳しく知りたい方はぜひ図録をお求めください。
シュシ・スライマン / Shooshie Sulaiman プロフィール
1973年マレーシア、ムアール生まれ。1996年マラ技術大学にて美術学士号取得。その後マレーシア国立美術館のYoung Contemporaries Awardを受賞し、ドクメンタ12(2007)、アジア太平洋現代美術トリエンナーレ(2009)、光州ビエンナーレ(2014)、シンガポール・ビエンナーレ(2011、2022)に参加するなど国際的に活躍。
日本では1998年に茨城のアーカスプロジェクトに参加したほか、「エモーショナル・ドローイング」(東京国立近代美術館/京都国立近代美術館、2008)、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(国立新美術館/森美術館、東京、2017)、同年ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」(横浜新美術館、神奈川)の出展で知られ、また、2013年から「AIR Onomichi」に継続して参加。主な個展に「Sulaiman itu Melayu/ Sulaiman was Malay」(小山登美夫ギャラリーシンガポール、2013)、「Malay Mawar」(カディスト美術財団、パリ、2016)、「Main Getah/Rubberscape」(Museum MACAN Children’s Art Space、ジャカルタ、2019)、「赤道の伝承」(小山登美夫ギャラリー、東京、2021)、「fake M.」(小山登美夫ギャラリー、東京、2023)など。
「NEW LANDSKAP」展概要
会期 | 2023年9月16日(土)~11月12日(日) |
時間 | 9:00~17:00(入館は16:30まで。10月7日のみ20:00まで開館) 別会場の光明寺會館、シドラハウス、書斎(ライティングスタジオ)は会期中の土日祝日の11:00~17:00のみオープン。入場無料。 |
休館日 | 月曜日休館(10/9日の祝日は開館) |
会場 | 尾道市立美術館 尾道市西土堂町17-19 千光寺公園内 |
別会場 | 光明寺會館 尾道市東土堂町 2-1 シドラハウス 尾道市西土堂町 13-38 書斎(ライティングスタジオ) 尾道市西土堂町10 |
観覧料 | 一般 800円、学生 550円、中学生以下無料 |
URL | https://bit.ly/3rDrh2f |