前橋で滞在制作し地域の素材と感覚から新作を発表

アーティストのS. Proskiが「第一回 前橋国際芸術祭 2026」に出展する。S. Proskiはアメリカ・ボストンから来日し、2026年8月17日から9月21日まで前橋市に滞在してアーティスト・イン・レジデンスを実施する。滞在中は桐生市の織物工場や地域の文化に触れ、布の端材や利根川の水、土地の音や手触り、人々との対話から得た感覚をもとに新作を制作。完成した作品は、2026年9月19日から12月20日まで開催される「第一回 前橋国際芸術祭 2026」で発表される。

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木住野彰悟《前橋国際芸術祭ビジュアル・アイデンティティ》

前橋の風景と素材に呼応する滞在制作

S. Proskiは、株式会社ヘラルボニーが主催する国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」で、日比野克彦選による審査員特別アワードを受賞したビジュアルアーティスト。今回の芸術祭出展は、同アワードがアーティストの継続的な活動やキャリア形成を支援する取り組みの一環として実現した。前橋での滞在制作では、約1カ月にわたり地域の風景や産業、文化をリサーチする。なかでも、織物産業で知られる桐生市の工場を訪れ、制作の過程で生まれる布の余りや端材を作品に取り入れるほか、利根川から採取した水も使用する予定。土地に存在する素材を単なる材料として扱うのではなく、その背景にある産業の歴史や人々の営みまで含めて作品へと取り込むことで、前橋という場所に呼応する表現を探る。

視覚では捉えられない感覚を描く

S. Proskiは絵画、テキスタイル、彫刻、テキストなどを横断しながら制作する。自身の失明という経験を背景に、美術における「見ること」をめぐる固定観念に問いを投げかけてきた。作品は直接的な視覚的観察ではなく、記憶や触覚、音、匂いといった感覚的な手がかりから立ち上がる。素材そのものが持つ質感や重さ、表面の変化を強く意識した表現が特徴。今回の滞在でも、あらかじめ完成形を設定せず、不確かさのなかで制作を進める。S. Proskiは前橋で捉えたいものについて、風に乗る茶や香の匂い、建築のなかに漂う静けさなど、「空気」と結びついた気配や感覚を挙げている。日本の文化や伝統、地域のアーティストや詩人との出会いも、作品を形成する重要な要素となる。滞在にはキャンバスや水彩絵具、筆に加え、宮沢賢治の詩集を持参し、土地との偶発的な関係から作品を立ち上げていく。

HERALBONY Art Prizeから広がるアーティストの活動

S. Proskiは2023年にボストン大学大学院美術学部絵画専攻を修了。2024年にはフルブライト奨学金を受け、ポーランド・ワルシャワで滞在制作を行った。同年の「HERALBONY Art Prize 2024」では審査員特別アワードを受賞し、ヘラルボニーとのコラボレーションでは受賞作品を用いたスカーフも発表。ヘラルボニーは同アートアワードを、受賞そのものを最終地点とするのではなく、その後の活動や新たな発表機会につなげる「出口のあるアワード」と位置づけている。今回の前橋でのレジデンスと芸術祭への参加も、その継続的な支援から生まれたプロジェクトとなる。

S. Proski プロフィール

ビジュアルアーティスト。2023年にボストン大学大学院美術学部絵画専攻を修了。2024年にフルブライト奨学金を受け、ポーランド・ワルシャワで滞在制作を行う。同年「HERALBONY Art Prize 2024」で審査員特別アワード(日比野克彦選)を受賞。絵画、テキスタイル、彫刻、テキストを横断しながら、自身の失明経験を背景に、視覚を中心としてきた美術表現のあり方を問い直す作品を制作している。adf-web-magazine-maebashi-biennale-2026-2

70組が参加する第一回 前橋国際芸術祭 2026

「第一回 前橋国際芸術祭 2026」は、前橋市が2016年に策定したまちづくりビジョン「めぶく。」を起点に、都市再生とアートを結びつける国際芸術祭として初開催される。テーマは「めぶく。Where good things grow.」。現代アートに加え、建築、音楽、詩、演劇、食など幅広い領域から70組のアーティストを招聘し、前橋市内20カ所以上で作品展示やプログラムを展開する。S. Proskiの作品はアーツ前橋で展示される予定で、まえばしガレリアで行われる滞在制作を経て完成する。地域の素材、産業、人との関わりを通して、視覚だけに依存しない感覚的な前橋の姿を提示する機会となる。

S. Proski 出展概要

  • 展示期間:2026年9月19日から12月20日まで
  • 展示会場:アーツ前橋予定
  • 滞在制作期間:2026年8月17日から9月21日まで
  • 制作場所:まえばしガレリア

「第一回前橋国際芸術祭2026」開催概要

会期2026年9月19日から12月20日まで
テーマめぶく。Where good things grow.
会場アーツ前橋、白井屋ホテル、まえばしガレリアほか前橋市内20カ所以上
URLhttps://maebashi-biennale.com/