ノーマン・ムーニーの2つの彫刻作品が中国広東省の南海フィールド・アートにて初公開
中国南東部の佛山市南海区にある南海フィールド・アートは、西樵山やその周辺の小さな湖、村、市場などの原風景を取り入れたエコロジー・アートの複合施設。「バタフライ・エフェクト」と「ウィンドシード」はここでデビューし、2022年11月18日から2023年2月19日まで展示される。
MADアーキテクト(中国)、藤本壮介(日本)、劉建華(中国)、ジェームズ・タプスコット(オーストラリア)、ノーマン・ムーニー(アメリカ)など15カ国134人のアーティスト、建築家、ミュージシャン、ダンサー、デザイナー、都市計画家が参加して、フィールドアート、環境意識、地域のライフスタイルの多様性を祝う。
自然界に存在する先天的なリズムやパターンを再現した2つの彫刻作品
「バタフライ・エフェクト」は、ムーニーのアイコンであるスターバースト構造のように、円柱のボディと、ハブ&スポークとして接合された12の翼の花びらからなる、数学的に一貫したオブジェクトとして提示され、すべての形と位置は互いにカウンターウェイトとして機能している。リンゴの積層合板から削り出されたこの彫刻の塊は、自然物と人工物の間に登録された幾何学的な類似性とミメオシス(擬態)を暗示している。植物園の庭に設置されたこの彫刻は、浮遊する本質の優雅さを象徴的な塊に凝縮し、 ロレンツォ・アトラクタ(対流現象の単純な系が微分方程式の集合によって定義されることを示す物理学の概念)を参考にして、人間を取り巻く自然のリズムを呼び起こして心の中にある考えを具現化させたものでもある。
ムーニーのもう一つの作品、「ウィンドシード」は、直径12フィートの星屑のような形状で、頂銀湖の水面上にそびえ立っている。凸の多面体から突き出た角ばったトゲの花火のようなこの作品は、水面に柔らかな影を落とすことで環境に呼応し、ムーニーの彫刻の中心的な考え方である「最もシンプルな自然の構造の中に見いだされるサブリミナルな美しさに焦点を当てていることを強く物語っている。この2つの彫刻は観る人にに物質と空間、自然と人工、数学と芸術の間の建設的な対話をもたらし、佛山市南海区で物質性(木とステンレス)と自然性の協奏曲をオーケストラで演奏している。
ノーマン・ムーニーとノーマン・ムーニー・スタジオについて
ノーマン・ムーニーは1971年にアイルランドのダブリン生まれ。コークにあるクロフォード芸術デザイン大学で学び、1992年にダブリンの国立芸術大学で美術学士号を取得。1992年から1993年にかけて、アイルランド近代美術館のサード・ディグリー・プログラムに参加するという栄誉に浴した。1994年にニューヨークに移住し、20年以上にわたって国内外で展覧会を開催。最近の主な展覧会に、Lightscape(ニューヨーク、ブルックリン植物園)、Nanhai Art Festival(中国、広東省)、Carolina Sardi & Norman Mooney(ニューヨーク、ウォーターハウス&ドッド)などがある。ムーニーは、都市や植物環境を舞台にした大規模な屋外インスタレーションでよく知られており、「自然の要素や循環的な相乗効果」を生かした作品を制作。ミクロとマクロの世界に存在する要素を用いて、物理的・非物理的空間におけるスケール、形態、パターンの感覚を探る作品を得意とする。彼の作品は、自然界のバイオダイナミックシステムを合成し、数学と機械科学の手段によって頑丈でずっしりとした幾何学的な形を構成している。