油彩と初発表の転写作品を通して実在とまぼろしのあいだにある風景を描く
アーティスト木原健志郎の個展「浮かぶ島」が、東京のARTDYNEで2026年10月1日(木)から10月18日(日)まで開催される。木原はこれまで、写真や雑誌、インターネットなどから収集したイメージやフィギュアを組み合わせ、コラージュやジオラマとして再構成した光景を撮影し、それを絵画へと置き換えることで現実と虚構の境界を探ってきた。本展では再び「風景」へと眼差しを向け、油彩と今回初めて発表する転写作品を合わせた十数点を展示する。
実在とまぼろしのあいだにある風景
木原が本展で題材とするのは、見慣れた近所の風景や、見たことがないにもかかわらず既視感のあるポストカードの風景だ。写真を切り貼りし、折り曲げ、油絵具で描き、転写する。そうした過程で生じるかすかな違和感によって風景を変容させ、「実在とまぼろしの間にある風景」を見出している。本展の油彩作品に描かれるのは、山や海、島など、一見するとどこかに実在しているように見える風景だ。ポストカードを切断、接合、折り曲げることで、もとの風景が持つ連続性を途切れさせ、それをさらに絵画へと置き換えている。その結果、現実に由来しながら、見覚えがあるにもかかわらず場所を特定できない風景へと変容していく。
初めて発表する写真の転写作品
本展では写真のイメージを綿布へインク転写した作品も初めて発表する。転写技法によって写真の像を布という別の支持体へ移し、イメージをその表面や物質性と結びつけることで、現実の記録としての明示性を手放していく。「描く」ことと「転写する」こと。異なる方法を通して、木原は写真に留められた現実を変容させ、記録と記憶、実在とまぼろしのあわいへと風景を移していく。見たことがないはずなのに懐かしく、知っているように思えるのに、どこなのか思い出せない。木原の作品は、そうした既視感を手がかりに、現実として認識している風景の不確かさを浮かび上がらせる。「浮かぶ島」というタイトルが示すように、そこに現れる風景は特定の場所に着地することなく、現実と虚構、記録と記憶のあいだを漂う。
現実と虚構から生と死の境界へ
木原は近年、植物や肉、虫などの生命体そのものに塗装を施した《リビング・フィギュア》も制作している。それまで作品で扱ってきた「虚と実」という問題を、「生と死」の境界へと展開したシリーズ。2025年には「第28回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」に入選。2026年には銀座蔦屋書店で個展「Flowers」を開催した。本展「浮かぶ島」では、これまで制作のなかで向き合ってきた「風景」に再び眼差しを向ける。
木原健志郎 プロフィール
1997年兵庫県生まれ。2022年に尾道市立大学大学院美術研究科美術専攻を修了。2023年にARTDYNEで個展「ヒーロー」、2025年に同ギャラリーで「Wings」、A.SINGLE.PIECE(シドニー)で個展を開催。2026年には銀座蔦屋書店で「Flowers」を開催。2021年「FACE2021」、2025年「第28回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」に入選。2024年には『芸術新潮』「山下祐二の新・今月の隠し球」4・5月号に掲載されるなど活動を続けている。
木原健志郎個展「浮かぶ島」開催概要
| 会期 | 2026年10月1日(木)から10月18日(日)まで |
| 時間 | 12:00〜19:00 |
| 会場 | ARTDYNE |
| URL | https://tinyurl.com/38h6h8wr |

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