空間の共有が生む着想の連鎖

rin art association MAEBASHIで鬼頭健吾と岡本健彦による二人展「revise」が2024年5月11日から6月16日まで開催される。高崎を拠点に異なる時代に活躍するふたりのアーティストによる本展は、二人の制作を通じて、歴史的な遺産と革新の交差における深い共鳴を描き出していく。岡本健彦(1934-2016) の作品は、シャープな輪郭によって抽出された形と色彩に特徴づけられ、西洋モダニズムの響きを深く感じさせる作品群は岡本がニューヨークに渡った1960年代の幾何学的な抽象やハードエッジの色面に影響を受け、美術史への深い洞察を宿している。adf-web-magazine-revise-2

展示作となる《風神・雷神》(1998年) は、こうした抽象絵画の特性を独自の手法で解体し、型紙のパターンを用いたモチーフの反復や金箔や鉛などメタリックな属性をもつ琳派の造形的意匠に対置している。一方で、鬼頭健吾(1977-) もまた、ニューヨークやベルリンに滞在し国際的な影響を吸収したアーティストのひとり。田中敦子をはじめ「具体」作家の造詣も深く、チューブから絞り出した絵具とラメに施された絵画で一貫した制作を続けながら、フラフープ、スカーフ、鏡などの日常にありふれた既製品の使用を通じて空間概念を更新する多様な実践に取り組んできた。初公開となる新作では岡本健彦による解体の手さばきに応えるかのように、日常的なアイテムから抽出した形象が抽象化した空間を構築していく。本展の底流をなすのは、二人のアーティスト間の密接な関係で、高崎にある岡本のアトリエは、現在は鬼頭によって引き継がれ使われている。本展では、この空間の共有が生む着想の連鎖によって、ふたりのアーティストの時を超えた共鳴が描き出されている。

adf-web-magazine-revise-1

岡本健彦「風神・雷神」

鬼頭健吾 × 岡本健彦 二人展「revise」開催概要

会期2024年5月11日から6月16日まで
会場rin art association MAEBASHI
URLhttps://tinyurl.com/yc8cm3fy