サイモン・フジワラの「Once Upon a who?」を日本初公開

setchuが運営する私設現代アート美術館「KAMU kanazawa」に、8番目のスペース「KAMU SsRgi」が2022年11月1日にオープンする。展示作品はサイモン・フジワラのインスタレーション作品「Once Upon a who?」を日本初公開、本作品で提示される様々な問題が解決するまで半永久的に展示を行う。adf-web-magazine-okamu-kanazawa-ssrg-1

金沢の街歩きには欠かせないせせらぎ通りに新たな展示空間が誕生

増殖する美術館KAMU kanazawa昨年12月にひっそりと東山エリアに実験的にオープンさせた「KAMU Sx2」に続き、8つ目のスペース「KAMU SsRg」を金沢市の中心市街地に位置する“せせらぎ通り”の一角にオープン。せせらぎ通りは、用水路にそってカフェやショップが立ち並び、ゆっくりと流れる時間を楽しみながら気持ちよく街を散策できるエリアで、KAMU kanazawaとしてもせせらぎ通りにスペースを持つ事を開館当初から計画に入れており、今後「KAMU SsRg」をきっかけに駅方面、近江町や尾張町、東茶屋方面へとスペースを展開していくために重要なポイントとなる。本スペース名「SsRg」は“せせらぎ”の頭文字をとっているが、表記は元素記号をイメージしており、新たな組み合わせや視点で新しい価値観や世界をアートを通じて生み出して欲しいという考えでデザインされた。

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KAMU SsRg ©KAMU kanazaw

社会にある根強い問題を可愛く浮き彫りにする作品

「KAMU SsRg」ではサイモン・フジワラの「Once Upon a Who?」を日本初公開。「Once Upon a Who?」は「Who the Bær」プロジェクトの核となるテーマを全ておりまぜたストップモーションアニメーションを中心としたインスタレーション作品。主人公である白い小さな熊の“who”が自分自身は何者かを探すストーリーで、アイデンティティ形成のプロセスにおいて、ジェンダーや人種、マスメディア、ソーシャルメディア、デートアプリ、セレブリティ文化などが与える影響、植民地主義、盗品や美術品にまつわる論争などが様々な事象が織り交ぜられており、世界共通で抱える問題を浮き彫りにしていく。

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Once Upon a Who © Simon Fujiwara Courtesy of TARO NASU

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Once Upon a Who © Simon Fujiwara Courtesy of TARO NASU

シンプルで視覚的に印象的なストップモーションアニメーションに加え、作家自身のナレーションと音楽が、ある時はシリアスに、ある時はユーモラスに、物語が提示する主題を際立たせる。展示空間はサイモン・フジワラが設計し、青いカーペット、ピンクのソファーと黄色のスツールなどがアニメーションの美的感覚と色調を踏襲した特別な空間となっている。

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Once Upon a Who © Simon Fujiwara Courtesy of KAMU kanazawa

サイモン・フジワラ

1982年ロンドン生まれ。日本人の父とイギリス人の母のもとに生まれる。現在ベルリンを拠点に制作活を行う。自分の生い立ち、家族の物語、世の中で起こる事象を作品に織り交ぜた作品をパフォーマンスやインスタレーション、彫刻、映像など多様なメディアによる作品を手がける。作品はMoMA、グッゲンハイム美術館、ポンピデューセンターなどにコレクションされ、様々な美術館、国際展などで活躍している。

KAMU kanazawa

金沢21世紀美術館から徒歩3分、金沢市の中心部に、setchuが運営を行う私設の現代アート美術館「KAMU kanazawa」が2020年6月21日に開館。現代アートによる日本の文化資源の向上のための作品収集、同時代的に生まれるアートの発信を行い、さらには“拠点となる金沢市”が現代アートの街として発展していくことに貢献する目的で活動する。

サイモン・フジワラ 「Once Upon a Who」展示概要

期間2022年11月1日より展示
チケットオンラインチケット
開館時間11:00 ~ 18:00