葛飾北斎最大の作品「八方睨み鳳凰図」をデジタル化して再現

NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]にて「Digital×北斎」特別展「大鳳凰図転生物語」− 小布施とHOKUSAI 神妙に達していた絵師 –が、2022年6月2日(木)から7月3日(日)まで開催。葛飾北斎の最大の作品、岩松院本堂天井絵「鳳凰図」が、300億画素のデジタル技術で実物大で再現される。また、デジタル化の過程で得られ新たな発見や考察についても紹介し、北斎が目指していたと思われる「鳳凰図」の世界観を体感できる空間となっている。

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岩松院本堂天井絵「鳳凰図」(八方睨み鳳凰図)

NTT東日本ならびにNTT ArtTechnologyは、ICT技術を活用して、様々な人々が身近な環境で文化芸術を楽しむことができる「分散型デジタルミュージアム構想」の実現を目指している。本展覧会では、これまで長野県・小布施町の岩松院でしか鑑賞することのできなかった「八方睨み鳳凰図」をICCで完全再現展示を行うことで、より多くの人が鑑賞できる環境を整えるとともに、調査・デジタル化の過程で得られた発見・考察についても動画やパネルを用いて紹介。さらに葛飾北斎が目指していたと思われる推定完全復原版「鳳凰図」を岩松院本堂を再現した空間の中で鑑賞し、当時葛飾北斎と小布施の人々が共同して実現しようとした世界を体感することができる。

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岩松院天井絵原図「鳳凰図」

天井絵のデジタルデータ化は、NTT ArtTechnologyのパートナーであるアルステクネが、特許技術「高品位三次元質感画像処理技術DTIP」を用いて実施。さらに、同社が未完成部を推定復元し、質感毎に多層化処理を行った。そして、約300億画素にもなるその高精度なデータを元に、ローランド ディー.ジー.がUVインクジェットプリンターを使用し、原寸大で出力。その高精細デジタル復原画が、本展の目玉作品として展示・公開された。

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復原画印刷に使用された、UVインクジェットプリンター LEC2-640

展示構成・概要

北斎 新たな旅
  • 葛飾北斎が晩年に力を注いだ肉筆画作品の紹介。似鳥美術館所蔵「詠歌美人図」「雲龍図」のマスターレプリカを展示。
  • 葛飾北斎を小布施に招いた髙井鴻山と葛飾北斎の関わりを説明。
  • 北斎が小布施を訪問した時期に関する考察。
四つの鳳凰図の謎
  • 葛飾北斎が生涯に描いた4つの鳳凰図の紹介ならび関係性の説明。
  • 岩松院天井絵原図「鳳凰図」マスターレプリカ、岩松院本堂天井絵「鳳凰図」マスターレプリカ [原図と同寸の縮小版]を展示。
巨大天井絵デジタル化プロジェクト
  • 岩松院本堂天井絵「鳳凰図」マスターレプリカ [実物大] 横6.3m×縦5.5m
  • デジタル化のプロセスの説明。
  • 記録調査、デジタル化で発見・考察した内容の説明。
天井絵転生物語
  • 前項の発見・考察をもとに制作した推定完全復原版天井絵「鳳凰図」を岩松院の本堂(間口6.3m、奥行5.5m、高さ5m)を再現した空間で天井絵として展示。顔料・箔が光の反射によって変容する姿まで再現(ローランド ディー.ジー.株式会社のUVプリンターを使用)。
  • 大型3Dダイブシアター※3「大鳳凰図転生物語」。5面に映像を投影する体感型作品。北斎の意図を継承し、最新のデジタル・アートとして展示。
おわりに
  • 本プロジェクトのメイキングおよび関係者インタビューの紹介。
  • 「フローティングギガビューワー」(原図、天井絵、推定完全復原版天井絵)による細部の鑑賞。
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岩松院 本堂大間の天井絵「鳳凰図」

岩松院 本堂大間の天井絵「鳳凰図」とは

「八方睨み鳳凰図」としても知られ、葛飾北斎によって、長野県小布施町の岩松院*2の本堂に描かれた天井絵。90歳でこの世を去る北斎が最晩年に手掛けた肉筆画であり、もっとも大きなサイズ(奥行5.5m×間口6.3m)の作品とも言われている。

「Digital×北斎」特別展 「大鳳凰図転生物語」開催概要

会期2022年6月2日(木)~7月3日(日)
会場NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] ギャラリーA
時間11:00~18:00(入場は17:30まで)
入場料一般・大学生 1,500円
公式サイトhttps://bit.ly/3Nj3o5q