個人的な体験を誰もが共有しうる普遍的な物語へと昇華
TARO NASU Galleryでブノワ・ピエロン個展「Fabric softener」が2024年9月13日(金)から10月12日(土)まで開催中。ブノワ・ピエロンは1983年イヴリー=シュル=セーヌ生まれ、現在はパリで活動している。ピエロンは作品において、自らの記憶や感覚をもとに人間と社会、生と死をテーマとして扱いながら、その個人的な体験を誰もが共有しうる普遍的な物語へと昇華させる。
幼少期を小児病棟で過ごしたピエロンにとって、生命をめぐるドラマは身近で苛烈な現実であり、その現実と折り合いをつけるために少年時代の彼が用いた想像力は、現在の彼の制作活動の基盤になっている。中間色を用いた華やかな色彩のハーモニーは彼の作品の特徴の一つとされるが、その色彩は病院の小児病棟のシーツの色に起因するものであり、彼の分身ともいえるコウモリ型をしたソフトスカルプチャーは、輸血の体験から生まれた吸血鬼幻想と結びついている。見慣れた日用品であるカーテンもまた、それが病室のカーテンであることに思いをはせてみれば、個人の領域とその外に広がる社会とを分つあまりに脆弱な壁としてのその存在に目を向けずにはいられない。
ブノワ・ピエロン個展「Fabric softener」開催概要
会期 | 2024年9月13日(金)~10月12日(土) |
時間 | 11:00~19:00 |
会場 | TARO NASU Gallery |
休廊日 | 日月祝日 |
URL | https://tinyurl.com/yrkawf4w |