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世界の映画祭が注目する新たな才能

夢何生は深田隆之が監督をつとめる『ナナメのろうか』を第70回サン・セバスティアン国際映画祭サバルテギ・タバカレラ部⾨へ正式に出品すると発表した。『偶然と想像』の助監督をつとめ、2022年6月に初劇場公開作となる『ある惑星の散文』が上映され話題になった深田の最新作となる。

adf-web-magazine-diagonal-corridor-1サン・セバスティアン国際映画祭はスペイン北東部の都市サン・セバスティアンで開催され、今年で70回目を迎えるスペイン最⼤の歴史ある映画祭。ヨーロッパにおいてカンヌ、ベルリン、ヴェネチアに次いで重要な映画祭として位置付けられている。adf-web-magazine-diagonal-corridor-3

日本からは濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』や杉田協士監督『春原さんのうた』等が出品され話題を集めた。今回出品されるサバルテギ・タバカレラ部⾨の“サバルテギ(Zabaltegi)”は、バスク語で“⾃由”を意味し、国、⾔語、⻑編・短編を問わない様々なジャンルの映画が出品される部⾨。同映画祭は2022年9月16日から9月24日まで開催される。映画祭入選に伴い、監督・出演者のコメントも掲載。本作は2022年9月10日よりポレポレ東中野にてロードショー予定。

作品情報

それぞれの"いま"を生きる姉妹。子どもの頃にはもう戻れない。
改装される予定の祖母の家に来た姉妹、聡美と郁美。妹の郁美は妊娠し、シングルマザーになる決意をしていた。
2人は家に残された物を片付け始めるが、昔遊んだおもちゃ箱を見つけ、こどもの頃のように遊び始める。しかし、お腹の子どもをめぐってお互いの溝が露わになり、2人は家の中ですれ違い、会えなくなってしまう。嵐の夜の中、姉妹は暗闇の中でお互いを呼び合うのだった。adf-web-magazine-diagonal-corridor-4adf-web-magazine-diagonal-corridor-5

ステートメント

『ナナメのろうか』は祖母の空き家をめぐる姉妹2人の物語。彼女たちが取り組む「片付け」という行為は様々な個人的記憶を呼び起こし、現実と交差する。2人がかつて一緒に遊んだ祖母の家。昔に戻ったように遊ぶ2人が直面するのは、それぞれの現実を生きる、変わってしまったお互いの姿。そして、前半と後半で別の映画のようになる今回の構成は、映画表現だけが持つ話法の可能性に賭けたひとつのチャレンジであった。改装されるのを待つ家。生まれようとする命。何かが決定的に変わる直前の束の間の時間を人々はどのように捉えるのか。

44分、全フレームに記録された俳優とスタッフの仕事が、海外の観客の目に触れることを光栄に思います。とても小さなチームが毎日家に集まり、それぞれの役割を全うした豊かな日々を思い出します。遠く海を越えて、サン・セバスティアンという土地で新たな観客と出会えるのを楽しみにしています。

深田 隆之