アーバン・コンガがデザインした、地域の活性化を促すアートインスタレーション

フロリダ州サラソタの「ベイ・パーク」に設置された新しい2種類のアートインスタレーションは、これまでいくつもの「遊べる都市」を探求したアート作品を創り出してきたデザインスタジオ、アーバン・コンガによってデザインされた。フロリダ州中央の西海岸にあるラグーンでは、大規模開発事業の第二期工事が進行中。そのウォーターフロントに、人々の交流を促し地域を活性化させる遊具が、ランドスケープやプランニングの専門家との協力のもと誕生したのである。

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Photo credit: Christopher Brickman

ふたつのインスタレーションは、ベイウォーク沿いの景色や、そこで生まれる活動や遊びを巻き込みながら、社会的な繋がりを喚起する。周囲のコンテクストとユニークに関わることで独自の存在感を放ち、人々や地域にとってランドマーク的な存在となっている。サラソタ沿岸に数多く存在するサンゴ礁からインスピレーションを受けた作品は、まるで海岸に打ち上げられたかのように、ベイ・パークのウォーターフロントに彩りを添えている。

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Photo credit: Ryan Swanson

「ポータル」

「ポータル」と名付けられた最初のインスタレーションは、流線形のデザインが特徴のスイング式のベンチで、サラソタ湾のさまざまな景色を切り取ってくれる。春分の日には、このベンチが作る円形の視界の中に太陽が完璧に収まる。人々が行き交う歩道の横に位置するベンチは、人々が集い、夕陽を眺め、日々変化し続ける地域について語らい、あるいはピクニックを楽しむことができる空間を創出している。作品そのものが、水辺にできた、多目的のコミュニティスペースなのである。ベンチに座ったり寝転んだりして前後に揺られながら水面を見つめると、まるでひとりで水に浮かんでいるかのような気分になる。ベンチの曲線的なデザインは、最大4から5人が同時に座れる開放的な交流の場を提供する。ベンチの裏地には持続可能性の高いケボニー材を使用し、構造体には耐久性を高めるためにリサイクル可能なステンレスを使用している。この作品を通して、人々は周囲のランドスケープと繋がり、環境との関わりについて思い巡らせることができる。そして、その先にある、海面上昇の問題がフロリダ沿岸に及ぼす影響など、我々が直面する様々な環境問題について考えるようになるのである。環境問題に向き合うための入り口となる、そんなインスタレーションである。

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Photo credit: Ryan Swanson

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Photo credit: Christopher Brickman

「ドラム・コーラル」

2つ目のインスタレーション「ドラム・コーラル」は、演奏したり座ったりすることができる調律されたドラムのシリーズである。サンゴ礁の触手のように伸びた両端は、それぞれ異なるピッチにチューニングされたドラムになっている。すべてのドラムは、コンガドラムのように手で叩くことができ、小さなサンゴの破片のように散らばった部分は、カホンドラムのように座ったまま演奏することができる。太鼓の間隔や高さを変えることで、誰でも簡単に演奏できるように工夫されている。この作品は、動きと音を使って、空間の中に一体感をもたらす。ジャムセッションやダンスパーティーをはじめとした交流の場として利用することができる。この作品は、リサイクル可能なアルミニウムのみを使用し、環境に優しい粉体塗料で塗装されている。「ポータル」と同様、人々と周囲の環境とのつながりを重視しながら、気候変動に関するオープンな会話を呼び起こすために遊びを活用し、その影響についてより深く認識させることを目的としている。

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Photo credit: Ryan Swanson

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Photo credit: Christopher Brickman

アーバン・コンガについて

The Urban Congaはニューヨーク州ブルックリンを拠点とする国際的な複合デザインスタジオ。自由な遊びを通して社会活動や地域交流を活性化させることに焦点を当てた多様なクリエイター集団で構成されている。彼らはコミュニティと協力して、建築環境の中であらゆる層の人々の創造性、探究心、自由な学習を刺激する包括的でサイトスペシフィックな機会を創出している。彼らの作品は既存の都市インフラに絡み合ったマルチスケールの遊びのためのエコシステムとして、日常生活を破壊することなく取り込める、「遊べる都市」のアイデアを探求している。