具象から抽象、そして深い青へ

昨年7月に逝去した画家・猪熊克芳(1951-2025)の没後初となる個展「Colors Eternal」が、2026年7月31日(金)から9月5日(土)までホワイトストーンギャラリー銀座新館で開催される。本展では最初期の自画像をはじめ、鮮やかな色彩やドリッピングを用いた初期作、「イノクマ・ブルー」と称される究極の青へ深化していく中期作、さらに心停止という極限体験を経て制作された2022年の晩年作品までを展観。その軌跡を通して、猪熊が追及し続けた色彩空間と表現の変遷をたどる。

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猪熊作品の魅力である繊細な絵肌は、「ルミナスオペラ」と呼ばれる蛍光マゼンタの下地や、メディウムに混ぜ込まれたコーヒーパウダーによって支えられている。また研ぎ出しやサンドペーパーによる削り出しなどの独自の技法が、平面の中に豊かな奥行きと空間性を立ち上げている。とりわけ円熟期の作風を特徴づける深遠な青の色調は、記憶や感情と呼応しながら、鑑賞者を静謐で内省的な空間へと誘う。

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猪熊克芳《IN BLUE (Ⅲ) Sep '23》2023、120.0×180.0cm、パネル・板・アクリル・コーヒーパウダー

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猪熊克芳《IN BROWN Jun '15》2015, 45.0×20.0cm、額・紙・パステル

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猪熊克芳《IN BLACK》1985、44.0×31.5cm、紙・パステル・アクリル

猪熊克芳

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猪熊克芳

横浜美術学校などで学んだ後、故郷の福島で制作をつづける。画業に専念したのは40歳を超えてからだが、青木繁記念大賞公募展大賞(1996)、福島県総合美術展準大賞(1998)など立て続けに受賞。コーヒーパウダーなど独自のマチエールを発展させ、色面を削るなどして実現されるぼかしの情緒は、日本的ながらも極めて現代的なバランス感覚を保つ。とりわけ「イノクマ・ブルー」とも称されるウルトラマリンブルーの作品は、国内外で高い評価を得ている。アジア各地で個展、アートフェアなど勢力的に活躍していたが、2026年、逝去。

猪熊克芳個展「Colors Eternal」開催概要

会期2026年7月31日(金)~9月5日(土)
時間11:00~19:00
会場ホワイトストーンギャラリー銀座新館
URLhttps://tinyurl.com/mw4xzdby