陶芸家 パスカル・ジラルダンがNYの国際コンテンポラリーファーニチャーフェアとパリのRévélationsビエンナーレにて新作を発表

陶芸家パスカル・ジラルダンは、5月にニューヨークで開催される国際現代家具見本市(ICFF)、6月にパリで開催されるビエンナーレ「Révélations」にて新作コレクション「Figura Ⅱ」を発表する。会場では、伝統的な職人技と現代的なデザイン感覚を融合させた彼女のユニークな作品を楽しむだけでなく、アーティスト本人に会える機会も設けられる。

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Photo credit: Stephany Hildebrand

ジラルダンは、個々に作られたピースからなる建築的なインスタレーションで知られている。そのピースの数は、数百、ときには数千にも及び、繊細かつスケールの大きい大作を数多く手掛けている。クライアントは、フォーシーズンズ、ノブ、ペニンシュラ、サックス・フィフス・アベニューなど。世界中の高級小売店、レストラン、ホスピタリティスペースなどで彼女の作品に出逢うことができる。

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Photo credit: Stephany Hildebrand

今回、NYとパリのイベントで発表されるのは、「Figura Ⅱ」と名付けられたトーテムのようなセラミック彫刻コレクション。作品は、その大きさと輪郭から、私たち人類に共通する経験、より具体的には「帰属」という普遍的な原理を表している。人々の交流や移動が増えるにつれ、人と人とが関わりながら移動する多くの社会的生態系が存在するようになり、私たちの帰属意識は流動的な状態にあると理解されるようになった。幼少期に何度も転居を経験したジラルダンにとって、このシリーズは概念的、形式的、個人的な観点から重要な意味を持っている。新しい環境への絶え間ない適応から、彼女のアイデンティティに対する考え方は、彼女が人間性について考える際のフィルターとして、粘土との関係に影響を与えている。

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Photo credit: Stephany Hildebrand

また、モントリオールのアーティスト/デザイナーのMaud Beauchampとのコラボレーションによる限定照明コレクション「Dunes」もICFFで展示される。タイトル「Dunes(砂丘)」は、地表に見られる有機的な地層を意味し、その形や大きさは、風の揺らぎによって常に変化している。砂丘が作り出す風景は、常に変化し続ける地球の性質の証であり、私たちの無常を思い起こさせるものとなっている。

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Dunes lighting by Pascale Girardin & Maud Beauchamp, Photo credit: Stephany Hildebrand

ジラルダンの作品は、伝統的なコイル技法とスラブ構築を用いて制作されている。意図的に手の痕跡を残すことで、物理的な世界との感覚的なつながりを想起させる。古代ギリシャ語で触覚を意味するハプテインに根ざしたこの触覚体験は、彼女の芸術的アプローチの核となっている。物質的な領域との関わりは、人間性の根源のより深い理解へと導いてくれる。ジラルダンは、このコレクションを通してそのメッセージを伝えようとしている。作品は、教訓的というよりもむしろ解釈的であることを意図しており、鑑賞者が自身の参照枠を利用して作品とオープンで活発な対話をすることを求めている。

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Photo credit: Stephany Hildebrand

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Photo credit: Stephany Hildebrand

作品は、ICFFのブース753、およびRévélationsビエンナーレのセクション "Le Québec, la Nation à l'honneur" にて展示される。どちらの会場にもアーティストが在廊するので、作品について詳細な説明を聞き、作品についての理解を深めることができる。

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Pascale Girardin, Photo credit: Stephany Hildebrand

パスカル・ジラルダン プロフィール

元々画家であったPascale Girardinは、芸術と科学の両方に興味を持ち、生物学(Université de Montréal)、デザイン(Certificate in Digital Technologies, Concordia University)、セラミック(Centre de Céramique Bonsecours)、視覚芸術(BFA Concordia University)を学ぶ。近年、ケベック大学モントリオール校を卒業(修士)し、研究の質の更なる向上と、作品を育てていくことに取り組んでいる。ビジュアルアーティスト、デザイナーとして、ピエール・パジェ賞、カナダ芸術評議会、ケベック州芸術・文学評議会からの助成金など、数々の賞を受賞している。

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Pascale Girardin, Photo credit: Stephany Hildebrand

ジラルダンの作品は、「Nobu」(NY)、フォーシーズンズ(モントリオール)、サックス・フィフス・アベニュー、クレメント・レストラン(NY)、フォーシーズンズ・プライベートレジデンス(中国・浦東)、プランタン(パリ)、アル・バディア・ゴルフクラブ(ドバイ)など、世界中の多くの高級施設に、気品のある個性をプラスしている。