ミナ・ザイードの海事産業と公共空間をつなぐ約230万平方メートルの都市構想
建築都市設計事務所X Architectsがアブダビの歴史ある港湾地区ミナ・ザイードを再構想する「Zayed Waterfront」を発表した。約230万平方メートルを対象とするマスタープランの提案で、クルーズ、ビジネス、リゾートの3地区を設ける。既存の港湾機能を生かしながら、コーニッシュから港へと公共空間を延ばし、サディヤット島方面へつなぐ。広場、遊歩道、水上交通、文化施設、沿岸の植栽を組み合わせた構想段階の計画である。

A vision for the Zayed Waterfront, a new gateway to Abu Dhabi with Cruise Island to the west, Business Island to the south and Resort Island to the east.
歴史ある港を街に開く
ミナ・ザイードは1970年代初頭に港として稼働を始め、アブダビの発展を支えてきた。現在も市場、クルーズターミナル、港湾施設が集まる交易と観光の拠点。一方、海沿いに続くコーニッシュの公共空間は、漁市場と港の施設付近で途切れている。X Architectsは、広場や日陰のある遊歩道を港へと連続させ、水辺へのアクセスを広げることを提案する。計画の中心軸には、市民活動の拠点となる「Zayed Plaza」を配置。海事資料館、海洋研究センター、イベント施設、公共設備を集め、3地区の文化、レクリエーション、宿泊施設を結ぶ。

Cruise Island positions the terminal and AD Ports headquarters within a public waterfront setting, with a maritime plaza, canal and pedestrian spine.
到着と仕事と滞在を担う3地区
西側の「Cruise Island」は海から到着する人々の玄関口として計画された。クルーズターミナル、AD Portsの本部や業務施設、イベントスペースを公共の水辺空間と組み合わせる。旅客の移動を支える高架のターミナルの下には、海事広場やフェリー、水上タクシーの乗り場を設ける構想だ。中央の「Business Island」は、アブダビ・マリーナを囲む都市的な地区となる。オフィス、宿泊施設、会議施設、飲食店に加え、マリーナクラブやボートショーのための施設を計画し、港での仕事と年間を通じた活動を結びつける。東側の「Resort Island」には、ビーチ、果樹園、マングローブ、宿泊施設、住宅、水上ヴィラ、スーパーヨットクラブを配置する。建物は東のサディヤット島、西のマリーナを望むよう計画されている。橋、運河、水上交通が3地区と周辺の島々をつなぐ。

Business Island brings offices, hospitality, dining, convention space and Abu Dhabi Marina into a denser, publicly active waterfront district.
海事の記憶を景観に継ぐ
景観計画はミナ・ザイードの真珠採り、漁業、交易の歴史を起点とする。海事の歴史を伝えるエリア、ザイードの理念を軸にした市民活動の中心部、果樹園を含む静かなリゾートエリアを設け、水辺の性格を場所ごとに変えていく。主要な広場にはガフの木で日陰をつくり、植栽を施した段状の空間や排水路、緑の回廊を取り入れる。港やマリーナに近い都市的な水際から、リゾート側の自然に近い水際へと移り変わる構成だ。沿岸部では、塩分の多い環境に適応する灰色マングローブの再生も提案している。X Architectsは港の産業活動を残しながら、市民が集い、移動し、海辺の自然に触れられる場所を構想した。海とともに築かれたミナ・ザイードの歴史に、アブダビの新たな公共空間としての役割を与える提案である。

Resort Island combines hospitality, residences and the Super Yacht Club with beaches, orchards and a more natural water edge.
Zayed Waterfront
- 計画地:アラブ首長国連邦・アブダビ、ミナ・ザイード
- 計画面積:約230万平方メートル
- 設計:X Architects
- 計画段階:コンセプト・マスタープラン

The public realm vision combines shaded plazas and waterfront promenades with swales, ghaf trees, ecological corridors and restoration-led mangrove landscapes.
X Architects
X Architectsは2003年にアハメド・アル・アリとファリド・エスマイルがドバイで設立した建築・都市設計事務所。湾岸地域を中心に、都市計画、文化施設、モスク、住宅、公共空間などを手がける。地域の文化や歴史、風土を現代の建築に反映する設計を特徴とし、代表作にシャルジャの「Wasit Wetland Visitor Centre」やアル・アインの「Bait Mohammed bin Khalifa」がある。

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