交通機関としての機能を超え地域のランドマークとなる

シド・リー建築事務所によって設計された新しい駅舎は近隣の伝統的な建築様式と建築的な繊細さを融合させ、コート・デ・ネージュ-ノートルダム・ド・グラース地区の中心で、周辺コミュニティのランドマークとして機能している。この新駅舎はエクソの輸送ネットワーク全体をアップグレードし、サービスの均一性を向上させることを目的とした変革プロジェクトの一環である。

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Photo credit: David Boyer

新駅舎は交通システムで最も混雑する路線のひとつで重要なハブとしての役割を果たしており、エクソの新たな安全性とアクセシビリティの目標を達成するために駅舎を新しくする必要があった。結果として、単純な交通機関としての機能を超え、地域の景観の中で明確なシンボルとなることを目指す革新的なアプローチを具現化することとなる。

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Photo credit: David Boyer

出発点としての屋根

何よりもまず建築家は近隣のタイポロジーを注意深く調査した。セント・フィリップ教会、既存の駅舎、この地域の数多くの住宅など、周囲の建築物からヒントを得て、周囲の景観に溶け込むよう、まず選ばれたのが二重勾配の屋根であった。現代化されたこの伝統的な屋根は簡素化されたシェルターの形を思わせる。その素朴でありながらエレガントな表現は、親しみやすさと安心感を与える。この二重勾配の屋根は丁寧に折り畳まれ、建物に自然光を最大限に取り込むために切れ目を入れられた紙のように、時代を超えた魅力をこの建物に与えている。

シャーブルック・ストリート・ウエストの道標

調和のとれたバランスを生み出すため、屋根はシンプルな形ながらボリューム感のある広々としたガラスの箱の上に繊細に配置されている。ユニークなデザインに加え、この配置は詩的な緊張感を持ち、利用者にとってよりスムーズで心地よいアプローチとなる。

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Photo credit: David Boyer

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Photo credit: David Boyer

細部までこだわったインテリア

内部では壁の透明性とフロアの考え抜かれた配置が回遊性と明快さを促進している。その結果、視覚的な探求を促す心地よい雰囲気が生まれ、利用者と周囲の都市生活との結びつきが強まる効果を促しいている。

シド・リー・アーキテクツ

シド・リー・アーキテクツは、シド・リー・クリエイティブ・エージェンシーの関連会社。建築家であり都市デザイナーであるジャン・ペランとマルタン・ルブランによって設立され、2人は1999年以来のビジネスパートナーである。都市計画、建築、インテリアデザインの各分野の専門家70人からなる学際的なチームを率い、2015年からシド・リー・アーキテクツは博報堂DYホールディングスが設立したクリエイティブ企業の集合体「kyu」のメンバーとなっている。