Studio DOTCOFが設計した5つ目のショールーム
山城ショールームプロジェクトは、Studio DOTCOFの常連クライアントである延豊自動車トリムシステム社が中国の山城である重慶に建設したもの。Studio DOTCOFが設計を担当したショールームは今回で5つ目となり、クライアントは当初から新しいショールームに地域の特色を取り入れたいとの意向を示していた。
そこで山間の町の街並みや建物、立体的で幻想的、高低差、豊かで驚きに満ちた体験といったイメージを連想し、そのイメージと高いフィカス・マクロカルパの木陰にある蒸し暑い屋台のイメージ、暖かくて騒々しいイメージとを結びつけた。このような重慶の「地域性」を感じながら、Studio DOCOFのデザインは始まった。
フロントロビーは来客を迎え入れるためのスペースと、ショールームに入る車の幅の条件を満たすために、広々とした空間を確保。そこで、来場者は空間の全体像を把握することができる。東側と北側のスペースは床を高くし、階段を上がるとガラス張りのミーティングルームに出る。そこからショールームの北側に回り込み、暗くなっている部分を利用し、クライアントのプロダクトを照明効果で展示する流れとなっている。そこでは開口部を持つ2つの壁に出会う。高い方の壁は展示物に集中できるように視界を遮り、低い方の壁とその開口部からは、南側のホワイエを見下ろすことができる。
西側の階段から通路を通り、休憩展示エリアと会議場へアクセスすることができるこの通路は、2段の階段を下りて半円形の会議ホールに行くか、円形の外縁に沿って会議ホールの北側に回り込むかの二手に分かれる。会議場は主にショーカーの発表会や講演会などに使用される。設計者は半円を利用して空間の幅を広げ、上部にイルミネーション天井フィルムを配置することで、限られた室内空間に「開放的」な意図を持たせている。
また、テラゾー、ハンドメイドタイル、無垢材パネル、金属など特定の素材にこだわり、シンプル、ダイレクト、パンチの効いた重慶らしさを表現している。
Studio DOTCOF(スタジオ・ドットコフ)について
Studio DOTCOFは、2015年にデザイナーのChen Xiによって上海で設立。革新的なデザインスタジオとして、あらゆるデザインプロジェクトにおいて、人と空間の関係の可能性を追求することをモットーとしている。Studio DOTCOFはクライアントのニーズ、現場の状況、建設技術、プロジェクトの予算などを十分に理解し、調査し、コミュニケーションを図りながら、空間、素材、照明を通してクリエイティブでユニークな反応を提供するよう心がけている。