緑のブリッジを備えた教育施設と観光インフラが南チロルの新たな地域拠点を形成
イタリア南チロル自治州バルビアーノ(Barbiano)で、 建築設計事務所Roland Baldi Architectsが設計した多機能公共施設が完成した。本プロジェクトは幼稚園、保育施設、子ども向けレストラン、観光案内所、公共インフラを一体化し、教育、観光、交通を結び付ける新たな地域拠点として計画された。欧州連合のNextGenerationEUおよびイタリアの国家復興・レジリエンス計画(PNRR)の支援を受けて実現した。
教育施設と公共機能を統合した複合施設
施設は道路を挟んで配置された2棟で構成される。斜面側には幼稚園、保育施設、子ども向けレストラン、安全な屋外遊び場を配置し、対面には観光案内所とバリアフリートイレを整備した。さらに地下駐車場から村の中心部へ直接アクセスできるエレベーターと階段塔を設け、地域住民や観光客の利便性を高めている。両棟は道路上を横断するブリッジによって結ばれ、建築全体を象徴するデザイン要素となると同時に、安全で快適な歩行ネットワークを形成している。
新しい学びを支える空間構成
建築は子どもの主体性や身体活動を重視した教育プログラムに対応している。従来の教室中心の構成ではなく、創作エリア、探究スペース、静養室、ロールプレイ空間など、多様な学習環境を設けた。廊下には交流スペースや遊び場、落ち着いて過ごせる小さな居場所を点在させ、日常的な学びやコミュニケーションを促進する計画となっている。地下1階には2つの保育室と近隣小学校にも給食を提供する子ども向けレストランを配置。地上階には保育室やデイケア施設、多目的スペースを設け、最上階には運動室と子ども専用の屋上遊び場を整備している。
観光インフラと地域の新たな玄関口
道路の反対側には独立した観光案内所を配置し、観光案内機能と公共トイレを備えた。前面には新しいバス停を整備し、交通速度を抑制する設備を設置することで歩行者の安全性を向上させている。また、地下駐車場から村の中心部までバリアフリーで移動できるエレベーターと階段塔を設置し、地域全体の回遊性を高めている。
地形を生かした建築デザイン
急勾配の敷地条件を積極的に取り入れた建築計画が特徴である。堅牢なコンクリート基壇の上に木造構造を重ね、機械室から教育施設、屋上遊び場までを水平に積層した構成としている。縦方向にリズムを持たせたグリーンカラーの木製ファサードは、村の南側入口を象徴するランドマークとして周囲の風景に溶け込みながら存在感を放つ。
サステナブルな建築
建物はClimate House Gold基準に適合している。太陽光発電システム、ヒートポンプ、熱交換換気システムを採用し、高い環境性能を実現した。内装には地域産木材を積極的に使用し、無垢材家具や木製吸音天井、自然光を取り込む空間設計によって、子どもたちが快適に過ごせる教育環境を実現している。
地域の未来をつくる公共建築
Roland Baldi Architectsは、本プロジェクトを通じて教育施設、観光インフラ、公共交通を建築によって統合した。地域コミュニティの交流拠点としてだけでなく、持続可能な地方都市の未来を示す新たなランドマークとして、バルビアーノの玄関口に新しい価値を創出している。
Roland Baldi Architects
Roland Baldi Architectsはイタリア・南チロル州ボルツァーノを拠点とする建築設計事務所。建築、都市計画、ランドスケープ、インテリアデザイン、公共空間の設計を手掛け、「Simple but Different」をコンセプトに地域性と素材の魅力を生かした建築を展開している。代表作にはバルビアーノ多機能公共施設、レノン市民防災センター、コッラルボ・モビリティハブ、キエーネスおよびスルデルノの幼稚園、メラーノ2000ロープウェイ駅舎、TechnoAlpin本社などがある。これまでにArchitizer A+Awards 2026 Jury Winner、Premio Architetto dell'Anno、Wood Architecture Prize、best architects award、South Tyrolean Architecture Prizeなど国内外の多数のアワードを受賞。また、ヴェネチア・ビエンナーレをはじめ、ピサ、サンパウロなど世界各地で作品を発表している。

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