Landscape & Planning, Unbuilt Masterplan部門Popular Choice受賞

ニューヨークを拠点とし、国内外のあらゆる規模の建築のディテールとクラフトマンシップに重きを置く設計事務所LMCAデザインが手掛けた中国・徐州市にある「Deji Plaza 」を紹介する。Deji Plazaは、2023 Architizer A+Awards Landscape & Planning, Unbuilt Masterplan部門でPopular Choiceを受賞している。

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Photo credit: LMCA Design

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Photo credit: LMCA Design

Deji Plazaは中国徐州市の中心業務地区にある、60階建ての高級住宅タワー2棟、11階建ての商業施設、徐州市の都市緑地を促進するための広大なランドスケープスペースを含む、総面積351,206平方メートルの複合施設である。

以前のデベロッパーが最初の建設を中止した後、何年も休眠状態だったが、LCMAデザインはこの土地の新しいオーナーにあらためて依頼され、この野心的なプロジェクトを完成させた。当時、ツインタワーの基礎はすでにセットされ、ポディウムは部分的に建設されていた。

LMCAデザインの社長兼創設者であるリー・ミン・チンは、こう振り返る。「私が最初にこの土地を見てすぐ、設計がデベロッパーや我々のビジョンと一致していないことに気づきました。何が変更可能で何が不可能なのかすぐに知りたかったのですが、場合によっては構造上の制限に阻まれることもありました」

その制限は、主に60階建てのツインタワーの基礎に適用された。それらは変更することはできないが、タワーの11階以上の高さであれば、60階まで自分のデザイン従うことに問題はないということだった。商業施設のポディウムについては、タワーに接続する部分のみが建設され、大部分のスペースはまだ手付かずの状態だった。

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Photo credit: LMCA Design

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Photo credit: LMCA Design

ルーツの再生

LMCAは、南側の都心と北側の中央公園を結ぶゲートウェイとして目立つ立地であることから、プロジェクトの正面ファサードを街の緑化に視覚的につなげるよう努めた。大鳥コンサルタンツ環境設計研究所が設計した都市緑化計画の一部として、美しく手入れされた造園設置へと拡大させている。

徐州市の緑化哲学のテーマと、中国グリーンスター評価システムの環境持続可能性の目標(プロジェクトは3つ星のうち2つ星を獲得)に沿って、リー・ミン・チンはDeji Plazaプロジェクトが何らかの形で周囲の自然要素を反映すべきだと感じた。建築的にプロジェクトに適応できる有機的な形や質感を想像し、その過程でガジュマルの木を思想的な指針として据えた。以降、LMCAの新しいデザインは、ガジュマルの木とその複雑な根の有機的な形と作用から、美的かつ機能的なインスピレーションを得ることになる。

「ガジュマルの木は自分の種から生まれるのではなく、既存の古い木に種をまき、それをエレガントで有機的な新しい形に生まれ変わらせる」「このプロジェクトは、大規模な変貌を遂げようとしている。」

地に足をつける

ポディウムの構造、景観、プログラム計画を自由に変更できることを武器に、LMCAは新しい床から床までの高さと、アートと文化を魂に注入する再デザインで空間を完全に再構築し、中国最大のアートコレクターのうちの1人でもあるオーナーのステータスを示すものに変えた。その結果、デザイナーブティック、アートギャラリー、IMAXシネマ、展示スペースなどが入り、オーナーのアートコレクションの一部は、プロジェクト全体の新しく開発されたスペースに散りばめられることになった。

基礎の一部がすでに建設されていたため、外周の柱を移動させるための余裕が限られていた。しかし、外部エントランスからメインアトリウムに至るまで、歩行者をよく考慮した新しいデザイン・アプローチのためにわずかな移動を行うことができた。アトリウムを中心的な集いの場として位置づけるため、アトリウムをより中心的な位置に移動させ、ループの中で効率的に店舗が回遊できるようにした。

ポディウムの2つの棟と、その背後にそびえるツインタワーを分割する中心的なコア要素として、すりガラスと透明ガラスが交互に斜めに配置され、ポディウムの球状のエントランスとアトリウムを特徴づけている。その両脇には、ガジュマルの根を取り巻く土の地層を象徴するように、アースカラーのイタリア製トラバーチンパネルがポディウムのファサードに水平に並んでいる。全部で17,439枚のパネルがポディウムの天然石ファサードを完成させ、その回転によってできる隙間から空気の流れを可能にするルーバーがデザインに埋め込まれている。

緑の光

複合施設のマスタープランの一環として、造園計画は重要な要素であり、植物園、水場、アートインスタレーション、円形劇場などをビル前の広場に独自に追加する予定である。LMCAは、北側に面した街並みの緑化に沿うように、基壇部のさまざまな階層に視界を遮るもののない複数の屋上テラスを設けるなど、数多くの緑地を設計に取り入れた。

空は無限大

当初の計画では、住宅棟1つとオフィス棟1つを計画していたが、LMCAの再設計により、ワンルームのコンドミニアムからかなり広い間取りのものまで、1,326戸からなる2つの高級住宅棟が誕生する。タワーの居住者は、1階の居住者用ロビーから直接ポディウムの複合施設にアクセスすることもできる。

ガジュマルの木とその複雑な根が持つ美的かつ機能的な有機的形態と作用は、Deji Plazaの住宅タワーの開閉可能な窓に日陰を提供するブドウの木のような日よけにも反映されている。LMCAは建築エンジニアと密接に協力し、タワーの設計図に換気ルーバーを戦略的に配置することで、新鮮な空気の循環と自然換気を確保し、機械システムのエネルギー消費を削減した。

南側は都会的な景観に面しているため、当初の設計では基壇部のセットバックはほとんどありませんでした。そこでLMCAは、ポディウムを可能な限り縮小するために新たなセットバックをいくつか設け、当初提案されていた巨大なストリートウォールの代わりに、上昇するにつれてねじれる起伏のあるファサードをデザインした。

Deji Plazaの外観ファサードと内部コアは、2025年初頭の完成を予定している。

LMCAデザイン

2015年に設立されたLMCAデザイン(Li Min Ching Architecture & Design)は、洗練された建築、マスタープランニング、インテリアの提供に焦点を当てたフルサービスの建築設計事務所である。LMCAデザインは、各プロジェクトの初期段階におけるデザインとテクノロジーの緊密な統合に重点を置き、受賞歴のある優れたデザインを迅速に提供することを可能にしている。