砂漠環境におけるサステナブルで快適な居住空間

持続可能な生産に取り組む研究・設計・開発事務所であるインダストリー・オブ・オール・ネイションズ(IOAN)が、カリフォルニア州ジョシュア・ツリー国立公園を背景に、モハーヴェ砂漠の荒々しい自然景観に溶け込んだモダンな木造パビリオン「ザ・ランディング・ハウス」を設計・製作した。

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Photo credit: Ye Rin Mok

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Photo credit: Ye Rin Mok

ザ・ランディング・ハウスはロサンゼルスから東に約130マイル(約209キロメートル)、ジョシュア・ツリー国立公園の入り口からわずか数分のところにある。持続可能性を核に設計されたこの住宅は、あらゆる場面で、砂漠というキャンバスのレイアウト、テクスチャー、カラーパレットに見事に溶け込んでいる。

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Photo credit: Ye Rin Mok

ブエノスアイレス生まれの建築家フェルナンド・ゲルスコビッチは、彼の兄弟であるファン・ディエゴとパトリシオとともに設計を担当。砂漠は特有のエコシステムに敏感で、一度ダメージを受ければ回復に何十年もかかる。自然の植物や土地の自然な地形を害さないよう慎重に、かつ砂漠環境における快適な居住空間として設計した。

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Photo credit: Ye Rin Mok

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Photo credit: Ye Rin Mok

息をのむような発見

彼らは2019年にこの地を訪れ、別世界のような風景や自然光のパターンなど、この地域の自然の特性に衝撃を受けた。創造的なインスピレーションを受けた彼らは、手つかずの砂漠の風景に溶け込んだ隠れ家というビジョンを実現すべく、関心のある建築技術を使用できる5エーカー(約6100坪)の土地を購入した。

その土地は、象徴的なジョシュアの木、豊富な自然の岩石、雄大な眺望に恵まれ、まるで国立公園そのものにいるような感覚を味わうことができた。一対のジョシュアの木が目と鼻の先にあり、彼らはこの家を枝が落ちた様子に喩えた。彼らのデザインはエコ・ヒューマニティーに重点を置いており、まず構造体が景観を損なわないよう、9フィートという薄型の容積を確保した。

砂漠の隠れ家

ザ・ランディング・ハウスはプライバシーと静寂のために設計された隠れ家として完成し、ホームステッド・モダンが主催するバケーション・レンタルとして世界中の人々が体験できるようになった。400ヤードの私道はジョシュアの木々に囲まれた地形を抜け、家を完全に隠す高さ9フィートの水平の壁へと曲がりくねって続く。エントランスでは目隠しに戦略的に植えられた踊るユッカの木がゲストを迎え、エントランスを抜けると、左右に2つのボリュームを分割する風通しの良い踊り場から、小さなプールを備えた中庭とこの家の姿が現れる。

境界線をぼかす

ザ・ランディング・ハウスは自然素材とモダンな設備が絶妙なバランスで融合され、手付かずの原風景に抱かれた心地よい空間を創り出している。間取りは2つのベッドルーム・スイートを並べたもので、風通しの良い踊り場が家を2つの棟としてつないでいる。一方の端には、ユニークなデザインの丸窓のあるベッドルーム・スイートがあり、リビングルーム、キッチン、ワークスペースを含むメイン・フロアプランにつながっている。風の通り道を挟んだ反対側には、プールスイートと呼ばれる専用の出入り口を持つセカンドベッドルームがあり、家のおよそ3分の1を占めている。

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Photo credit: Ye Rin Mok

内部空間はすべてシダー材の壁パネルで覆われ、床はわずかに磨かれたコンクリート、考え抜かれたデザインのホワイトオーク材の家具が置かれている。床から天井まであるスライディング・ガラス・ドアからは、手つかずの砂漠の風景が一望でき、中庭にあるプールを見渡せる。

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静寂の中で深呼吸

風除室の踊り場からプランジプールまで垂直に伸びるコンクリート製のプラットフォームは、ジョシュアツリー国立公園の広大な美しさを見渡しながら心安らぐひとときを過ごせるよう、一枚岩の幾何学的なフォルムにデザインされている。右側にはソーラーパネル屋根のカーポートがあり、砂漠の暑い日差しから車を守る。左側には、岩に手作業で彫られた焚き火台がそのまま残されている。

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Photo credit: Ye Rin Mok

中庭からは見えないが、角を曲がったところにヨガマットが敷かれた彫刻的なランディング・パッドがあり、自然の岩層を背景に禅のひとときを過ごすことができる。 酸化したソリッド・スチールで縁取られたランディング・パッドは、砂漠の土を圧縮して埋められ、自然の景観に溶け込んでいる。

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Photo credit: Ye Rin Mok

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Photo credit: Ye Rin Mok

持続可能性の証

ジョシュアツリー国立公園の境界線上に位置するこの隠れ家は、環境に配慮するという責任を備えた持続可能な建築の代表例として建造された。その自然に溶け込む水平のフォルムは、周囲の自然を引き立て、環境との平和的共存という設計者のビジョンに寄与している。さらに既存の地形と一体化しており、そのランドスケープ・アーキテクチャーは母なる自然の恩恵を受けている。

インダストリー・オブ・オール・ネイションズ(IOAN)

2010年4月設立の、消費財の生産方法を見直すことに取り組むデザイン・開発事務所。ボリビアの手編みアルパカ・セーターから、アルゼンチンのエスパドリーユ、インドの天然染めベーシック製品まで、IOANは製品や素材の原産地に製造業を戻し、ユニークなローカル・ビジネスを国際市場に提供している。

IOANは、世界中の地域社会と協力して水平展開されたベーシックな日用品を紹介することで、製品に文化を取り戻し、人々に力を取り戻そうとしている。伝統的かつ革新的な工業プロセスを通じて新しいデザインを生み出しながら、環境と社会に対する意識、フェアトレード、そしてすべての国々に開かれた国境を推進し、そのままのアイデンティティを持つ象徴的な商品を世界中に探し求めている。


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