ゼロ・シール・ハウスのコンセプトに沿った屋上庭園
ドイツの建築事務所ステファン・マリア・ラング・アーキテクツは、ミュンヘンにある住宅「ハウスLW27」を発表した。今回の案件は、高級住宅街で小さな敷地に大きなボリュームの住宅を建てる必要があり、さらに建物が屋外プールに隣接しているため、庭をつくるスペースはほとんどなかった。そこで、閉鎖的なエリアを屋上で開放するというゼロ・シール・ハウスのコンセプトに沿って、屋上庭園をつくることとなった。
側面の境界線は新たに植えられたキャノピー・ツリーによって隠され、自然な日除けとなっている。そして地上階には、プールに沿って東から西へと自由に流れるオープンなフロアプランがある。床から天井まであるスライディング・ウィンドウは一年中屋内外を行き来することができる。
上階にはバスルームと独立したドレッシング設備のあるベッドルーム、そして、働き盛りの夫婦のために用意されたジャグジー付きの緑豊かな屋上テラスがあり、自然光と人工光を巧みに使い、雰囲気のある空間に仕上げている。さらに、世界的に有名なオーストリアのバルテンバッハ・ライトがデザインし、手作りしたユニークな照明器具をエントランスに設置するなど、細部にまでこだわりが散りばめられている。
ステファン・マリア・ラング
ステファン・マリア・ラングはカリフォルニア・モダニズムの有機的な建築からインスピレーションを得て、時代を超越したクラシックのように、ファッションの変遷を超えるユニークな芸術を開発。直感的にクライアントを多様なデザインの可能性へと導いている。クライアントの要望に応えながら、緑豊かな敷地の空想的な空間を住みやすく快適な建築へと変えていく。チステファンは、チームとともに敷地や建築工程の細部まで監督し、与えられた敷地の特徴を把握。それらをクライアントの個性と結びつける非凡な才能を持っている。彼のプロジェクトは、雰囲気を大切にしたビジュアル構成で、多様性と個性を物語っている。プロジェクトは、快適さとエネルギー効率を満たすため、最新技術を駆使した建築の複雑さが体現されている。しかし、彼の考え方や生き方は、日本思想からのインスピレーションや古色への感謝、そして不完全なものの美しさを本質的な資質としている。