ブルガリア黒海沿岸の港町に建築事務所STARHによる複合施設「EOS」が完成

ブルガリアの港町ヴァルナに建てられた複合施設EOSは、ギリシャ神話に登場する暁の女神「EOS(エオス)」にちなんで名づけられた。女神エオスは、毎朝深い海の地平線より昇ってこの世を照らし、夜明けを告げた。ブルガリア第2の都市として知られるヴァルナには、地元民に愛されているシー・ガーデン公園があり、観光名所としても有名だ。EOSと黒海の間にあるのはこの公園だけであり、黒海の地平線より昇ってくる朝日を最初に浴びるのは、このEOSなのである。

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Photo credit: Dian Stanchev

特殊な三角形の地形は、建物をデザインする上で最も大きな課題となった。EOSの独特の形状は、この地形の制限が基準となり完成された。建築物によく見られる特徴である「白さ」と「水平分布」を取り入れることで、特徴のある外形でありながらも様々な解釈が可能な外観を目指した。

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Photo credit: Dian Stanchev

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Photo credit: Dian Stanchev

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Photo credit: Dian Stanchev

EOSの大部分を占めるのは、居住空間である。居住スペースは4階から最上階までで、1階は商業スペースとエントランス、2台分の車庫入口が占めている。車庫は地下2階分の広さだ。2階と3階には、宿泊施設とアトリエ、そしてオフィスのための空間が用意されている。上下の動線には、階段と2つのエレベーターを利用できる。屋内空間は垂直の空間が強調されるレイアウトで、東側に面した回廊(ロッジア)だけは三角形になり、交わった先が海に向かって延びている。角に位置するプレストコンクリートのバルコニーの全長は上階では8mにも及び、建設の際の大きなチャレンジであった。

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Photo credit: Dian Stanchev

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Photo credit: Dian Stanchev

本プロジェクトは、機能性と審美性を追求しながら進められたが、同時に耐久性も重要視された。ファサードの素材は耐久性とメンテナンスのしやすさを基準に選定された。もちろん省エネと居住性も優先され、その結果がアルミ製の窓や繊維セメントの換気ファサードなどの採用である。

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Photo credit: Dian Stanchev

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Photo credit: Dian Stanchev

STARHについて

STARHは、ブルガリアを拠点にするコンテンポラリーな建築事務所。地域の建築環境のステレオタイプを打ち破るようなプロジェクトの実現を目指して活動している。デザイン品質、機能性、素材や細部へのこだわり、そして耐久性が共生するプロジェクトを数多く成功せさてきた。手掛けてきたあらゆるスケールの革新的なプロジェクトの複雑さには高精度のアプローチで対応してきた。その結果、国内だけでなく海外からの評価も高く、多くの賞を受賞している。


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