既存校舎を活かしつながり合う建物、緑の中庭、変化に対応できる学習空間により開かれたキャンパスを形成する小学校

ルクセンブルクのエシュ=シュル=アルゼットでは、既存の小学校「エコール・ブルッシュ」を中心とするブルッシュ地区(Quartier Brouch)の再整備が進められている。都市デザイン・コンペで選出されたJSWDのマスタープランでは、これまでの閉鎖的な街区構成を、緑の中庭を囲む複数の建築群へと転換。建物の間には、一般に開かれた歩行者専用の動線を設け、周辺地域へとつながる開放的なキャンパスを形成している。

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Entrance of the primary school Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

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Entrance hall with seat steps, Artwork: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

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Details on masonry
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

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Aerial photo of the Brouch Quarter
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

JSWDは、歴史的な既存校舎の改修と3棟の新築校舎を一体的にとらえ、最終的には4つの建築ボリュームがほぼ正方形の中庭を形成する計画となった。地上階には大きな開口部を設け、中庭との視覚的・物理的なつながりを確保。1階ではブリッジによって新旧の建物を連続的につないでいる。

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Connecting bridge between two new school buildings, street view
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

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Connecting bridge between two new school buildings, view from the schoolyard
Photo credit: Andres Lejona

現在完成している第1期工事には、南側のBuilding Cと西側のBuilding Dの2棟が含まれる。両棟は現代的な建築表現を採用しながら、歴史的な本館との関係を、プロポーションや素材、色彩によって丁寧に構築している。レンガのファサードには既存建物の漆喰と自然石に合わせた色調を用い、新旧の建築を視覚的に結びつけた。

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Facade detail
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

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Fasade detail
Photo credit: Andres Lejona

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Details on masonry
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

この計画では、教室、動線、授業前後の児童ケアのための空間を個別の機能として分離するのではなく、それらを一体的な「学習のランドスケープ」として捉えている。新旧の建物は「スクール・ヴィレッジ」を構成する要素として位置づけられ、オープン、セミオープン、クローズドな空間を組み合わせることで、様々な教育活動や交流に対応できる。明快な空間構成とリング状の動線によって、施設内での方向感覚も直感的に把握できる。ガラス張りのブリッジは、新築部分と歴史的な校舎との連続性を生み出している。

Connecting bridge between two new school buildings, view from the schoolyard Photo credit: Andres Lejona

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Connecting bridge between two new school buildings, street view
Photo credit: Andres Lejona

Building Cには、開放的な階段の下に木で仕上げた段状のベンチを設け、座ってくつろいだり、交流したりできるインフォーマルな場所が設けられた。Building Dには半地下型の体育館を組み込み、大きな窓から自然光を取り入れている。体育館は用途に応じて分割でき、独立した入口を設けることで、学校の利用時間外には外部利用者にも開放できる。

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Sports hall
Photo credit: Andres Lejona

キャンパスには、校内だけでなく近隣の学校にも食事を提供できる給食用の調理厨房を設置。食事スペースは上階に分散して配置され、食事だけでなく、グループ活動などにも利用できる柔軟な空間として計画されている。

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Classroom with a view of the old school building
Photo credit: Andres Lejona

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Play area in front of the loggia
Photo credit: Andres Lejona

今後建設される3棟目の新校舎では、既存校舎と新築部分をさらにバリアフリーでつなぐ計画だ。エントランスホールは中庭と屋根付きの屋外空間に開かれ、そこには座席を組み込んだ段状のスペースを設ける。授業や屋外イベントのための小さなステージとしても機能する。

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Playroom
Photo credit: Andres Lejona

小学校の向かいには、幼い子どもたちを対象とする独立した幼稚園、Building Eも計画されている。独自の建築的アイデンティティを持つ建物とし、学校の活動から守られた庭園型の中庭を屋外遊びの場として設ける。各グループ室には南向きのテラスやロッジアを設け、遊び、食事、睡眠など多様な活動に対応できる柔軟な空間としている。

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Details on masonry
Photo credit: Andres Lejona

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Aerila schoolyard
Photo credit: JSWD / Franco Casaccia

素材の選択も、歴史的建物と現代建築との対話を強調している。新しいファサードには耐久性と質感を備えた無垢の化粧レンガを用い、レンガの積み方に変化をつけることで、明確な立体感を生み出した。外部にはブロンズ色のアルミニウム製窓枠を用い、内部にはオーク材を採用。明るいベージュ色のテラゾーとゴム床が、動線空間と教育空間に統一感のある色彩を与えている。白い漆喰壁と打放しコンクリートの天井は、カラフルな音響パネルを引き立てる抑制された背景となる。

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Artwork of the Stairwell: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

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Artwork of the Stairwell: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

アートワークは、とりわけ開放的な階段室を中心に、動線空間へ組み込まれている。青とオレンジを基調とした水彩画のような抽象表現に加え、この地域に生息するカワセミをモチーフとして取り入れ、より親しみやすく生き生きとしたインテリアをつくり出した。地域の自然環境とのつながりを示すと同時に、学校独自のアイデンティティを形成している。

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Artwork of the Stairwell: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

環境性能については、パッシブとアクティブの双方の手法を組み合わせている。自然換気をエネルギーコンセプトの一部とし、気候適応型の窓システムによって、夏には冷却された新鮮な外気を取り込み、冬には太陽熱で予熱された空気を室内へ導入する。屋上のファンが気流を調整し、陸屋根に設置した太陽光パネルは敷地内でのエネルギー生産にも寄与する。

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Connecting bridge between two new school Buildings, Artwork: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

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Signage Detail: Daniel Mac Lloyd
Photo credit: Andres Lejona

歴史的な建物と現代的な新築、柔軟なインテリア、そしてランドスケープによってつながる共有空間を組み合わせたエコール・ブルッシュは、従来型の学校建築を複数並べた施設ではなく、相互につながる一つの学習環境として計画されている。変化する教育ニーズに対応できる柔軟性とともに、子どもたちや地域にとっての強い場所性を生み出すことを目指した建築である。

JSWD

2000年にケルンで設立された建築設計事務所。現在では、ベルリン、ウィーン、バルセロナ、米国フロリダ州タンパにも拠点を展開している。現在、創設者のオラフ・ドレーゼン(Olaf Drehsen)とフレデリック・ヤスペルト(Frederik Jaspert)に加え、パートナーのトビアス・ウンターベルク(Tobias Unterberg)、マリオ・ピルヴィッツ(Mario Pirwitz)、クリスティアン・マンメル(Christian Mammel)が、30カ国以上の出身者からなる約240名のチームを率いている。

ドイツおよびヨーロッパで完成した60以上の建築を擁するJSWDのプロジェクトは、文化施設やイベント施設から、住宅、オフィス、学校、医療施設、さらには既存建築の改修・用途転換まで、多岐にわたる。建築家および都市計画家として、同事務所は素材とデザインへの情熱を示すとともに、持続可能な計画に責任を持って取り組んでいる。初期段階のアイデアづくりからプロジェクトの成功までを担い、総合設計者として、最終的な引き渡しに至るまで一貫してプロジェクトを導いている。