産業遺跡に対等の力強いインテリアデザイン
ペーター・ベーレンス煙草工場の由緒あるバウハウス・ホールに、デスティラット・デザイン事務所がデザインしたピッツェリア22kがオープンした。1925年から39年にかけて建てられたこの建物はニュー・オブジェクティブ様式のオーストリア初の鉄骨造の建物である。受賞歴のある2人のシェフ、セバスチャン・ロスバッハとマルコ・バルトによるカジュアルな食の遊び場で、ラディカルで機能主義的な工業ビルの「ファルク棟」に位置している。内装デザインも同様にクールなものになると期待されていた。
モニュメント保護の厳しい条件のため、間取りそのものを変更することはできなかった。その代わりにデスティラットは、既存のアスファルトの打ちっぱなしの床から始めて、50m2の部屋を日本の焼杉手法で上から下まで深い黒に染め上げた。数千年の歴史を持つこの仕上げ方法は、素材を自然な形で保存し、表面を耐水性にし、さまざまな暗い色合いという特別な美しさを与えている。

detail_the bar made of recycled bricks: stacked on sight with a characteristic honeycomb structure, lined with dark joint compound, sanded, edged with black sheet metal
Photo credit: Jürgen Grünwald
部屋の中央にはリサイクルの赤レンガから作られたバーがある。特徴的なハニカム構造で積み上げられ、濃い色の目地材で裏打ちされ、やすりがけされ、黒い板金で縁取られ、効果的にバックライトで照らされている。エレガントな黒いトーネットの椅子が置かれたモノクロームのインテリアの中で、この未加工の素材は博物館のような性格を帯びている。
デスティラットは本プロジェクトにおいて、由緒ある建物に感謝の気持ちを接しつつ、決して恐れずに力強いインテリアデザインを持ち込んだ。
- seating area_Thonet seating Photo credit: Jürgen Grünwald
- seating area Photo credit: Jürgen Grünwald
- bar Photo credit: Jürgen Grünwald
- bar area Photo credit: Jürgen Grünwald
- detail_wooden elements charred in the tradition of the Japanese Shou Sugi Ban technique Photo credit: Jürgen Grünwald
デスティラット・デザイン事務所
ウィーンとリンツにオフィスを構え、インテリアデザインと家具デザインにおいて国内外で活躍。ハラルド・ハッシェンバーガー、トーマス・ノイバー、ヘニング・ヴァイマーがクリエイティブ・チームを率いている。個人および企業顧客のために建築コンセプトを開発し、各プロジェクトにおいて全体的な文脈の中でアプローチを行い、細部にまで焦点を当てた包括的で精巧なインテリア・コンセプトを生み出している。