モントリオールの小学校リノベーション。景観に溶け込むデザインで街の雰囲気を一新

スミス・ ヴィガント・アーキテクツBGLAが手掛けた、カナダ モントリオールのアハンティック・カルディエビル自治区にあるクライスト・ロイ小学校のリノベーションプロジェクトが、2020年6月に完成した。当プロジェクトでは、9つの教室、幼稚園、デイケアサービス、体育館を含む3階建の建物の増築が行われた。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-4

Photo credit: Stéphane Brügger

既存の建物と周囲の景観に調和するデザインは、学校の地域との関係性を象徴している。社交的で活動的な機能を持つ新しいホールの誕生を祝うかのように、新たなモニュメントが正面の通りに面して設置された。中庭側は、既存の棟の持つ雰囲気を維持しながらも、透明性と彩りが強調されたデザインとなっている。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-6

Photo credit: Stéphane Brügger

新旧の2棟は、大きな中央階段を中心に設計。この階段は、周囲のカラフルなデザインと自然光の明るさで、楽しく心地よい雰囲気を既存のデザインにもたらしている。既存の建物と調和するよう、増築棟もレンガ造りのシンプルな長方形とし、標準的な大きさの教室が両脇に配置され、中央を廊下が走る、典型的な校舎の設計となっている。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-9

Photo credit: Stéphane Brügger

開放的でインタラクティブな設計

増築棟の1階は、既存棟、校庭、そして道路も含めた近隣地域と機能的に繋がり、ダイナミックかつ開放的な設計。不要な要素がそぎ落とされ、新しい受付ホールとその外にある前庭、正面の通りと校庭の両方に繋がるデイケアセンター、体育館、など主要な機能だけを残しながら、中庭と近隣環境における存在感を際立たせた。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-11

Photo credit: Stéphane Brügger

景観に調和するインパクトのあるデザイン

新旧2つの棟が繋がる中央ホールは、新棟の真ん中に設計されている。ホールは、人流のハブであり、階と階、近隣地域と校庭を繋げる役割も果たす。ラジュネス通りに面した正面受付と校庭との間には、自然光がたくさん入るガラス張りのホールがあり、更に新旧2棟の廊下を繋げている。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-3

Photo credit: Stéphane Brügger

建物のラジュネス通りに面したファサードには、教育の場としての施設の特徴を一貫して表すレンガが使用された。新しいデザインが施されたのは、新ホール、デイケアセンターへの正面入口、体育館への入口の3箇所。1階は、特に新しい校庭に開けており、地域に溶け込む公共スペースとしての学校の存在感を増すよう、意図的に設計されている。石造りの建物は、学校の社会的でアクティブな側面を表している。例えば、ホール、デイケア、体育館、階段などは、控えめで型通りのしつらえとなっており、校庭や公共スペースは、透過性の高い、もしくは彩りの豊かなデザインとなっている。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-5

Photo credit: Stéphane Brügger

校庭に面したファサードは、透過性と色彩がひときわ強く表現され、建物と校庭に独特の個性を与えている。様々な明るさのオレンジと赤のアルミパネルが、既存のドア枠や窓枠の赤色と調和すると同時に、周囲の住宅の様々なレンガの色調ともマッチしている。この特徴あるファサードのデザインは、ロビーにも施されているが、ラジュネス通りへの主張は控えめにしてあり、周辺地域への調和に配慮がなされている。

adf-web-magazine-christ-roi-elementary-school-1

Photo credit: Stéphane Brügger

BGLAについて

BGLAは、建築、都市設計、建築遺産の分野で45年の経験を誇る建築設計事務所。モントリオール、ケベック、セティルの3都市にオフィスを構え、社員は75名以上。教育・医療機関や文化・地域の分野において、様々な規模のプロジェクトに携わってきた。建物の周辺環境や、歴史的・社会的な性質を尊重した、建築的アプローチを行っている。また、木材をはじめとしたローカル素材を、構造や仕上げに積極的に採用している。

スミス・ ヴィガント・アーキテクツについて

1992年、ケベックで創立したスミス・ヴィガント・アーキテクツは、革新的でサステイナブルなデザインアプローチで、オリジナルのコンセプトを構築し、様々なプロジェクトを成功させてきた。建築家、LEED認証の専門家、デザイナー、技術者など幅広い分野をカバーする専門家集団により、住居、公共施設、企業施設、都市設計、国立公園など多岐にわたって事業を展開している。ケベックのサステイナブル建築のパイオニアとして、木材建築の専門性を高め、海外への展開も行っている。