インダストリアルな建物のシェルを自然光が形づくる流動的なインテリアへ

バッファローを拠点とする建築・デザイン事務所Arch&Typeが、歴史的なH.H.リチャードソン・オルムステッド・キャンパス近くにある旧倉庫を、ヘアサロン「Fawn & Fox Salon」へと改修した。自然光、有機的なジオメトリー、既存建物がもつインダストリアルな個性を生かしながら、現代的なインテリアへと再生している。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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Warehouse Before
Photo credit: Seth Amman

倉庫を単なるニュートラルな器として扱うのではなく、露出した構造体と大らかなスケールを、新たに導入する柔らかな建築表現との対比として活用した。曲線を描く壁や丸みを帯びた開口部、丁寧に形づくられた境界が、より流動的な空間言語を導入。既存のシェルの内部に中庭を思わせるインテリアを形成し、サロンの活動を一日の中で表情を変える明るい中心空間の周囲に配置している。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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During Construction
Photo credit: Seth Amman

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During Construction
Photo credit: Seth Amman

プロジェクトの中心となるのが、彫刻的な天井のオクルスに設けられた幅8フィート(約2.4m)の天窓だ。空へと直接開かれた円形の開口部から差し込む太陽光は、時間の経過とともにインテリアを移動する。壁や床には光と影のパターンが刻々と現れ、時間、天候、季節の変化を空間の中で可視化している。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

オクルスの円形ジオメトリーは、サロンの空間構成にも反映されている。従来のような閉ざされた個室と廊下による構成ではなく、曲線を描く壁が、スタイリング、洗髪、集い、休息のためのエリアへと人の動きを緩やかに導く。各スペースは視覚的なつながりを保ちながら、活動性やプライバシー、静けさの度合いに応じて異なる性格を備えている。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

大きな窓からは自然光がサロンの奥まで届き、隣接する庭とのつながりも生まれる。植物や空、季節の変化が日常のサロン体験に取り込まれ、旧倉庫と周囲の環境との境界を柔らかくしている。インテリアとエクステリアは連続したひとつの体験として捉えられ、庭そのものがサロンの雰囲気やリズムを形づくる要素となった。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

このプロジェクトの素材感と空間性は、新旧のコントラストによって成立している。既存のトラスは建物のインダストリアルな個性と歴史を残す一方、新たに導入された曲線は、より柔らかく有機的な環境をつくり出す。あるクライアントは、この空間に身を置く感覚をジョージア・オキーフの絵画に入り込むようだと表現しており、包み込むようなフォルムや光の輝きと、頭上に残された生々しい構造体との組み合わせが印象的な空間となっている。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

アートもまた、インテリアに新たな層を加えている。バッファローのアーティストCassie Ottは、6面あるバスルームの壁面のうち5面にわたって壁画を制作。独立した装飾要素としてではなく、建築の一部として作品を組み込むことで、色彩と動きをもたらすとともに、地域に根ざしたアートの存在感を空間に加えている。

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

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Photo credit: Andrea Wenglowskyj

建築、アート、庭、そして刻々と変化する自然光が一体となることで、サロンがもつ社交的な性格と、静かに立ち止まり休息するための時間が共存する多感覚的な環境が生まれた。空間は固定された構成として一度にすべてを見せるのではなく、光や人の動きによって絶えず変化し、その表情を徐々に明らかにしていく。

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During Construction
Photo credit: Seth Amman

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During Construction
Photo credit: Seth Amman

本プロジェクトではアダプティブ・リユースが既存建物を機能的に再生するだけにとどまらない可能性を示した。Arch&Typeは、限られた建築的介入によって、ありふれた倉庫を、構造、アート、ランドスケープ、自然光が相互に作用しながら日常の体験を形づくるインテリア・ランドスケープへと転換した。

Arch&Type

建築家Seth Ammanが設立した、バッファローを拠点とする建築・デザイン事務所。アダプティブ・リユース、住宅、商業施設、公共建築など幅広いプロジェクトに取り組み、場所にすでに内在する可能性を見出し、引き出していくプロセスとして建築を捉えている。

好奇心、環境への意識、素材に対する細やかな技術、そして人、建築、自然界のつながりをより深める空間づくりへの姿勢を活動の指針とし、それぞれの場所が持つ特性や可能性に応答した建築を追求している。