四半世紀にわたりインテリアデザインに携わってきた。

父親が大工で、母親が美容師。技術畑で育ったせいか、幼稚園児の頃には手作りの工具入れを持ち、小学生の頃には父の現場で職人さんの手作業を見ながら柱にクギを打って遊んでいた。中学生の頃には、技術のクラスでも、プラモデルを作っても、誰にも負けないぐらい美しく格好良いものを作ろうというデザインや技術への意識が高くなり、作ったものが成績で評価されると気持ちが良かった。

ファッションに興味を持つようになった頃、自分が育った環境とファッションへの結びつきを強く感じるようになり、迷わずブランドの店舗デザインを始めた。消費者に近い目線で空間を見て、細かい使い勝手などを検討し、デザインを起こしていく。それが楽しいと感じた。

家族を持ってからも年に1、2回はデザインをテーマとした旅行をしている。
「地球の歩き方シリーズ」ではなく、「ヨーロッパ建築案内」や「建築MAP」など、建築の本を片手に旅をする。観光地も観るが、気になる建築、デザイン、アートを観ることに決めている。歴史のある建築物や美術館は勿論、新しい建物、隠れた建物を探して歩く。

ヨーロッパでデザインを観て歩いたことがあった。
初めに、フランスのロンシャンにあるル・コルビジェの作品「ノートルダム・デュ・オー礼拝堂(1955)」、通称「ロンシャンの礼拝堂」を観に行った。

Chapelle-Notre-Dame-du-Haut

ノートルダム・デュ・オー礼拝堂 Chapelle Notre Dame du Haut

礼拝堂といったら街の人々が通いやすい街中にあるものだが、この礼拝堂は高台にあり、街の人々が見上げるとそこにあるのだ。建物を見学すると、光と風の入り方や自然との調和が計算されていて、コルビジェはこの高台というロケーションをよく理解した上でデザインしたことが良くわかる。

直島にも行った。数多くのアートがあるこの島にもたくさん刺激を受けた。

Naoshima

直島 Naoshima

ベネッセハウス」にある安藤忠雄建築の宿泊棟「オーバル」は、実にすばらしいロケーションにありながら、贅沢な広さ、これ開くの?と思うぐらい天井まで伸びる大きな窓、細部に渡るデザインを含めた全てが完璧で、最高の空間をプレゼンテ―ションされた。

北海道のモエレ沼公園にも行った。有名彫刻家イサム・ノグチがマスタープランを手掛けた自然とアートが融合した公園だ。特徴のある噴水もあり、遊具なども巧妙にデザインされている。イサム・ノグチというアーティストならではの自由な発想が、使い手にも想像力を湧かせるため、遊び方も一通りではない。

モエレ沼公園

モエレ沼公園 Moerenuma Park

北海道の広大な敷地に、著名なアーティストの手によって、ランドマークデザインとアートが融合された最高の憩いの場所である。

分野にこだわらずデザインを広く見ること、体験し触れることに時間をかけることも大事であり、頭で覚えるのではなく体感を蓄積することは、デザインをしていく上で必要不可欠である。

もともとデザインする目的とは、「心地良さの追求」、「趣味や美しさ」、そして「文化、社会に貢献する」この3つがベースだと思う。

デザインとは、文化に貢献するデザインと、社会に付随するいわゆる商業的なデザインとに分かれるが、私たちの仕事は商業的なデザインに貢献する立場にあり、「心地良さの追求」と「趣味や美しさ」がいつも離れずついてまわる。デザインをする上ではこの2つを常に意識し日々行動し続けたいと思う。