前回、建築で使われるプログラムソフトの中で触れたBIM(ビルディングインフォメーションモデリング|Building Information Modeling)について少し掘り下げたい。

ひとつの建築物を建てるのに多くのチームが存在し、一人ひとりが責任を持って仕事をこなしている。これを行う際に全員が同じ内容を理解するのは至難の業である。同じ内容であっても人それぞれ解釈は違い、業種によってその解釈は少しずつ変わってくる。計画、設計、実施、施工とステージが進むにつれて、5人程度だったのが30人、100人、1000人とチームの大きさはどんどんと大きくなっていく。このなかで伝言ゲームのように間違った情報が膨れ上がらないようにするのも仕事のうちになる。こういった状況を避けるべく開発されたのがBIMである。

BIMとは

Building Information Modelingの頭文字をとったものであり、AEC:「建築家(Architecture)」、構造、設備等の「エンジニアリング(Engineering)」、「施工(Construction)」の専門家が情報を共有するプラットフォームであるとされている。3次元データ、建築用ソフトウェアーそのものがBIMであると解釈されがちだが、そうではなく、「AECが互いに情報交換ができるプラットフォーム」であると定義されている。すなわち、現在ではこのソフトや3次元データをさすことになるが、未来にはよりよいソフトが出現することも考えられ、3次元でなく、4次元になることも不思議ではないため、予め未来性を含んだ定義である。いずれにせよ、「建築物を建てる上で、それに携わる全員がひとつのデータを下に情報交換がLIVEで行えるもの」である。

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具体的には3次元モデルから始まり、そこから派生する2次元図面、敷地図、平面、立面、断面、詳細図面等があり、そこから構造解析、日照解析、風力解析、動線解析、素材、完成予想パース、スケッチ、過去の議事録、現場でのコメント、モックアップ写真などがこのファイルの中に随時更新されていくものである。与えられた情報にはそれぞれ優先順位があり、情報によってはその順位が入れ替わることもある。その内容が伝わっていなければ、現場で大きなミスにも繋がる。つまり、このファイルにさえ繋がっていれば、設計者は現場の動きがわかり、構造家はモックアップの強度を確認して、すぐさま施工者に電話をかけることができるのである。これらはあくまでも定義であり、事務所や物件によって、この使い方は様々であり、アイディアや技術的な進歩によって使われ方は三者三様である。

BIMの利点

上記にも述べたように、建築物を建てるには多くの人が関わり、それを誘導することが必然とされる。この中でBIMは多くの誤解や間違った作業を最小限にすることができ、それによるコスト削減と納期短縮が可能となった。今までは、現場と設計者での理解の溝があったが、BIMの出現により、その緩和も起きたと言われ、それもコスト削減と納期短縮に繋がっている(現場でもBIMを開いて積極的に情報交換をしていることを必須とする)。

CADはなくなる?

前回の記事にも書いたが、アメリカで2009年にリーマンショックがあり、それを理由に多くの建築事務所は、CADを使う者をREVITを使える者に雇用を入れ替えていた事務所が多い。確かにそういう時代であり、適切な判断であったといえるが、CADは一切なくなるかというと、そうは言い切れない。カード社会で現金を持ち歩かない世の中にはなっているが、やはり現金には役割があり、全く無くなることは考えにくいように、CADも手描きのスケッチも需要の削減はあっても、残り続けると考えられる。また、RevitCAD、スケッチで描いたもので、それぞれスピードと共有範囲は違う。が、優れているものを選ぶのはそのツールには左右されないのも事実である。

BIMソフトとして認識されているもの

BIMの可能性

MR: Mixed Reality、AR: Augmented RealityVR: Virtual Realityなどの参入により、建築施工は更に効率化されるであろう。現在すでに、車産業でのデザイン部門はこれらの導入により飛躍的に成長している。すなわち、こういった新しい技術によって開かれるものをBIMで共有することで各部署での認識を共有することができる。

更に、設計の会議で起きていることをLIVEBIM化し、これらを現場のロボットとつなぐことが可能になったとする。そうすれば、会議室で模型を動かすように、現場のロボットも動き、設計と現場が同時に進むことも可能だと考えられる。これこそが理想とされ、建築において計画、設計、実施、施工と段階を踏んで進むことが必須とされているが、これらのステップを飛び越えて進むことも不思議ではない。